「心臓が飛び出そうだった」。37歳久保が七回の東北楽天の窮地を救った。大谷(岩手・花巻東高出)の一打で6−5と迫られた嫌な流れのまま1死二、三塁で登板すると、2者連続三振という最高の結果を出した。
 1死でまず田中賢と対した。「打たれたら(走者を残した)菊池が悪いと思って」。フルカウントから内角低めへの変化球で空振り三振に仕留めた。2死からはドレイクに直球勝負。「ボールになってもいい。めいっぱい投げよう」。カウント2−2から全力で外角へ投じ、空振りさせた。
 「くぼー」。この球の直前に沸いた大声援にも背中を押された。「いつもは頭(の中)が真っ白で聞こえないが、今日だけは耳に入った。心が震えた」
 巨人、DeNAで2度、戦力外となった苦労人。2月、沖縄県金武町で入団テスト受けた時も、どん底からはい上がる思いだった。結果を知らされないまま帰路に就くと携帯電話が鳴った。呼び戻され、梨田監督らから合格を告げられた。待たせたタクシーの料金表示は約2500円。その時間分、心が揺れに揺れたのだろう。
 「おじさんの星、と呼ばれようが何でもいい。今はただ野球が楽しいし、この環境に感謝している」。一生懸命なベテランがチームを支えている。(金野正之)