9日に福島県郡山市で行われた全国高校総合体育大会(インターハイ)の柔道男子団体で、桐蔭学園が11年ぶり3度目の頂点に立った。3月の全国選手権、7月の金鷲旗大会との「3冠」は創部初。偉業の陰には力のある後輩たちを支えた心優しき主将の存在があった。 「僕はいじられ役のキャプテンです」。歓喜の輪の中心で関根聖隆選手(3年)は後輩たちの肩をたたき、はにかんだ。 1学年下には、中学時代に全国優勝を経験した実力者が3人。他校もうらやむ戦力にみえたが、頂点への道のりは甘くなかった。昨夏は県予選で敗退。新チームになっても全国レベルの学校に勝てない時期が続き、「自分がしっかりしなくちゃ勝てないと思った」。突き詰めたのは自らの技術だけではなかった。 後輩の力をいかに引き出すか。アプローチは三者三様だった。「『お前は絶対できる。冷静になればできる』って励ましてくれるのが大きかった」とは千野根有我選手(2年)。関根選手は照れ笑いを浮かべ、「自分は絶対的な存在じゃないから、お前ら頼むぞって。やっと自分たちがやらなきゃって思ってくれた」。技術、体力に心を加え、三つの頂を登り詰めた。 優しきリーダーもまた、周囲に支えられていたと明かす。満面の笑みで記念撮影に収まる関根選手の右手には、同じ畳に上がるはずだった同学年の選手の名札があった。「天国から力をくれたと思う。ありがとう、取ったぞって報告したい」。一昨年の夏、練習中に熱中症で倒れ、命を落とした仲間にささげる快挙だった。