親子二代で追い掛けた夢には一歩届かなかった。10日に福島県会津若松市で行われた全国高校総合体育大会(インターハイ)のボクシング決勝。バンタム級の松本圭佑選手(みなと総合高)は父で元東洋太平洋王者、好二さん(47)が果たせなかった栄冠へ挑んだが、3年連続の準優勝となった。「父を超えてやりたかった」。悔しさが頬を伝った。 決勝のリングで拳を合わせた相手は、アジアユース選手権王者の堤駿斗選手(千葉・習志野高)。圭佑選手は果敢に打ち合いを挑んだが、惜しくも判定負け。だが、その姿に父は胸を熱くしていた。 「泣き虫だったから。男親としては強くなってほしかった」。自身も横浜高時代にインターハイで準優勝していた好二さん。プロ転向後は東洋太平洋王者を経て、現在は大橋ジムのトレーナーとして八重樫東(34)を世界3階級王者へと導いてきた。 圭佑選手が父の背中を追ってボクシングの道を選んだのは小学3年のときだ。しかし、命を落とす危険もあるスポーツ。キッズボクシングで頭角を現すようになると、父は覚悟を試さざるを得なかった。「リングに上がる怖さを知ってほしかった」と、心を鬼にしてボディーを2発たたいた。小さな息子は苦痛に顔をゆがめながら2度立ち上がった。 「父のボクシングの強さを証明したい」という思いで闘い続けた二人三脚の日々。インターハイでは栄冠に届かなかったが、リングを降りる背中に父の「圭佑、よくやったぞ」という甲高い声が響いた。 夢には続きがある。父が立てなかった五輪のリング、つかめなかった世界王者。圭佑選手は涙を拭い、「まだ、めげてはいない」と言った。