盤上の駒やカードを動かして遊ぶボードゲームに魅了された男性が今月、横浜中華街に専門店を開いた。横浜市港南区の伸居(のぶい)智和さん(37)。格闘技、介護、営業マンとさまざまな世界を渡り歩いた経歴は、よく遊んだという「人生ゲーム」のよう。100種を優に超えるコレクションに囲まれ「大人も子どもも笑顔になれる空間を提供したい」。目指すゴールは先にある。 1日にオープンしたボードゲーム専門店「リゴレ」(同市中区山下町)。横浜中華街にあるビルの一室には、上級者向けの難しいものから初心者でも親しめるものまで、世界各国から取り寄せたボードゲームがずらりと並ぶ。 販売だけでなく、手に取って遊べる体験スペースを店内に設置。ビール大手の関連会社に勤めた営業担当時代に中華街を回っていた縁も生かす。クーポンを提示すると提携店でサービスが受けられるといった仕組みをつくり、観光客を呼び込もうとしている。 店を持つまで、いろいろな経験を積んできた。 千葉県に生まれ、高校卒業後はシュートボクシングのプロ選手を目指したが、夢破れて海外へ。半年間でバックパッカーを終えると介護業界へ飛び込み、20代後半で施設長に就いた。 さらに営業マンに転身したが、脱サラして独立の夢は捨てきれなかった。開業を決めたきっかけは、2年前の成功体験にある。 営業先のバーの売り上げ増に一役買うため、自前のボードゲームを複数持ち込んでイベントを企画。大いに盛り上がったという。 根っこにあったのは「言葉や世代を超えて一緒に楽しめる」というゲームへの愛。幼い頃は祖父と定番の「人生ゲーム」に興じ、高校時代は友人を自宅に招いて遊んだ。インドでも現地男性とチェスに熱中した。「ゲームの専門店なら自分のコミュニケーション力も生かせる」。ことし3月、仕事場に別れを告げた。 インターネットなどを通じ、世界各国の情報を集めてはボードゲームを購入。店を構えられるだけの自慢の品が集まった。 「昔、家族で遊んだ思い出がよみがえった」。体験スペースで久々にゲームに触れたという女性(27)が笑顔を見せる。伸居さんは「運だけでも実力だけでも勝てない。絶妙なバランスも醍醐味(だいごみ)」とうれしそうだ。 店主としてだけでなく、横浜市内の飲食店でイベントを手掛ける「ゲームマスター」としても活動する。「コミュニケーションツールの一つとして、ボードゲームを浸透させたい」。夢は膨らんでいる。