座間市のアパートで男女9人の遺体が見つかった事件を踏まえ、精神科医や研究者らでつくる日本自殺予防学会は7日、自殺に関する報道や若者への対応方法について提言した。帝京大付属溝口病院(川崎市高津区)の精神科医・張賢徳(よしのり)理事長は「インターネットを規制するのではなく、発信されたSOSを適切な支援につなげる仕組みをつくっていくことが必要」と強調した。 同学会は「自殺願望について、言葉だけでなく心理的背景を正しく理解して」「インターネットを介した自殺予防活動はむしろ奨励すべき」など4項目について提言した。 張理事長は東京都内で会見し、会員制交流サイト(SNS)に書き込まれる「死にたい」との言葉に言及。「自殺願望は、死にたい気持ちと生きたい気持ちの間で揺れ動くものであり、決して死を覚悟したものではない。字面通りではなく『死にたいくらいつらいんだ』という叫びとして受け取ってほしい」と解説した。 事件を巡っては、SNSのツイッターが悪用されたことを受け、県や国などが青少年に有害とされるサイトの閲覧制限を促進する動きも出ている。これに対し張理事長は「若者が苦しい心情を吐露する場がなくなってしまう恐れがある。一律の規制はむしろマイナス」と指摘した。 加えて「日本では、自殺に傾く若者たちに対する支援の手が足りないのが現状。インターネットに限らず、生の人間関係においても、助けを求める声に応えられるような基盤づくり、社会づくりを強化しなくてはならない」と訴えた。