地震直後の1時間を地域の助け合いで乗り切る方法を考える横浜発の減災行動ゲーム「J−DAG」を使った講座や訓練が広がりを見せている。一つの自治会に見立て、参加者が安否確認や火災、負傷者などの対処法を相談しながら決めていく内容で、市民グループ「防災塾・だるま」理事の片山晋さん(78)=横浜市磯子区=が4年前に考案した。11月27日には、栄区の自治会で要援護者支援を担当する住民らが体験し、直後の混乱を意識した備えの大切さを実感した。 「こちらCブロック。防災倉庫の鍵を開けてほしいのですが」「こちら対策本部。鍵はこちらにありません」 本部には、別のブロックからも次々と情報が入る。「けが人が若干名います」「安否確認、19世帯全部できました」「歩行困難者は空き地に避難させました」 本部と地区ごとのブロックに分かれ、地震後に刻々と変化する状況やニーズをトランシーバーで交信しながら進めるJ−DAG。備蓄品を記したカードも用意され、臨機応変さが問われるが、約50人が取り組んだ栄区の体験講座では、近隣住民の安否の把握に手間取ったり、ブロック名のアルファベットが聞き取りにくかったりして、参加者の間に混乱が広がった。 「それを知ることがこのゲームの目的」と当日の講師も務めた片山さん。J−DAGは「Just Disaster Action Game」の略。公助を当てにできない地震の直後に直面する消火や救助、避難などにどう対処するかを考えてもらう。 時刻に応じて開封する「指示書」に「断水で消火栓が使えない。適切な指示を」などと書いてあるが、すぐに判断しないと次の指示に間に合わない。他のブロックや本部とトランシーバーを介さずに直接話し合うのもご法度だ。 栄区の参加者は「情報共有がこんなに難しいとは」「役割を決めたのに、住民の状況をきちんと把握できなかった」などと課題を実感。「近所での日ごろのコミュニケーションが必要」「『向こう三軒両隣』の大切さが分かった」といった声も目立った。J−DAGの講座を初めて企画した区の担当者も「こうした取り組みが広がればいい」と受け止めていた。 2013年2月以降、改良を重ねながら市内外で設けてきた体験や訓練は30回を超えた。片山さんは「それぞれの地域に持ち帰り、対策の見直しにつなげてほしい」と呼び掛ける。必要な資料は、防災塾・だるまのウェブサイトからダウンロードできる。