湯河原町の住宅の焼け跡から2015年4月、住人の平井美江さん=当時(66)=の遺体が見つかった殺人・放火事件は、21日で発生から2年を迎える。県警はJR湯河原駅の監視カメラに写っていた男が何らかの事情を知っているとみて捜査しているが、有力な情報は得られていない。現場には20日、平井さんの知人らが献花に訪れ「早く解決してほしい」と願い、手を合わせた。 小田原署捜査本部によると、平井さんの遺体の額には包丁が刺さったままで、複数の切り傷や刺し傷、鈍器で殴られた痕があった。捜査本部は、犯人は平井さんを殺害後、室内に火を放ったとみている。 県警はこれまでに延べ1万6696人の捜査員を投入。現場周辺で延べ7746世帯、同9657人への聞き込みを行い、153カ所の防犯カメラの映像を分析してきた。 昨年4月には、事件当日早朝にJR湯河原駅の監視カメラに写っていた男の映像を公開。ただ、改札を通り、エスカレーターでホームに上がっていく姿を最後に、男の足取りは分かっていないという。 提供された情報についても捜査関係者は「めぼしいものはない」と話す。残忍極まりない犯行と、平井さんの人柄とを結び付けるような動機も見当たらない。捜査は難航し、別の捜査関係者は「本当に難しい、厳しい事件」と打ち明けた。 事件発生から数カ月間、ブルーシートに覆われていた住宅はなく、現場はいま更地になっている。周辺住民によると、2015年夏ごろに解体されたという。近所の女性は「明るい人で近所の人気者だった」としのびながら、「今も怖いので真夏でも網戸は閉め切っている。夜は近くを歩きたくない」と不安な表情を浮かべた。 一方、平井さんが通っていた福祉作業所の鈴木雅之所長(57)は20日、利用者7人らと献花に訪れた。鈴木所長は「悔しさ、残念さ、寂しさ、いろいろな思いがある。なぜ何の罪もない平井さんだったのか」と唇をかむ。 遺族は取材に対し、代理人弁護士を通じて「1年前の気持ちと変わりがない。コメントは控えさせていただきたい」と回答を寄せた。◇ 捜査本部は21日、JR湯河原駅と小田原駅で、監視カメラの男の情報提供を呼び掛けるチラシ1万枚を配布する予定。捜査本部電話0465(32)0110。 ◆湯河原殺人・放火事件 2015年4月21日午前6時ごろ、湯河原町宮下の平井美江さん宅で火災が発生。焼け跡の寝室から、額に深く包丁が刺さった平井さんの遺体が見つかった。死因は頭蓋骨骨折に伴う脳挫滅で、死亡推定時刻は同日午前5時ごろ。頭や顔に複数の切り傷や刺し傷があったほか、鈍器で殴られた痕もあった。犯人は殺害後、寝室の隣の居間に灯油をまいて火を付けたとみられている。