※2020年7月16日配信の記事を再編集しています。

 日本脳炎ウイルスは、豚が保有するウイルスであり、人への感染はコガタアカイエカが媒介すると言われています。日本脳炎ウイルスは、熱帯・亜熱帯のアジア地域に広く常在し、現在でも地域によっては大流行が見られています。日本国内においても、広く本州から西の地域の豚は、日本脳炎ウイルスを保有していることがわかっています。日本脳炎は、日本脳炎ウイルスに感染した人の中で、100人に1人程度が発症すると言われていますが、今でも治療法はなく、後遺症を残したり死亡することが少なくありません。日本脳炎ワクチンの定期接種は第1期と第2期があり、標準接種年齢はそれぞれ、3〜5歳と、9〜10歳とされています。新型コロナウイルス感染症が国内においても流行している状態ではありますが、子どもたちにとって大切な予防接種を忘れず、可能な限り適切な時期に接種を行うよう心がけましょう。

概要・感染経路

 日本脳炎は、主にコガタアカイエカによって媒介され、日本脳炎ウイルスによっておこるウイルス感染症であり、ヒトに重篤な急性脳炎を起こします。日本脳炎ウイルスは水田や沼地等の大きな水たまりに発生する蚊(日本では主にコガタアカイエカ)によってウイルスに感受性のある脊椎動物(ヒト、ウマ、ブタ等)の間で伝播します。ヒトはウイルスを保有している蚊に刺されることによって感染・発症します。コガタアカイエカは暑い日中よりも、日没以降から活動が活発になることから、日没以降に野外に出る際は、蚊避け剤の使用や衣類を工夫する等、なるべく蚊に刺されないようにすることも大切な予防法の1つです。

 日本脳炎ウイルスのヒトへの伝播においてブタは重要な役割を果たしています。ブタは感染を受けることによって多量のウイルスを体内で生成し、血液中にウイルスが検出されるウイルス血症を起こします。日本脳炎ウイルスを多量に含む血液を蚊が吸血し、ウイルスを保有する蚊となって、またそれが他のブタへと伝播して、蚊からブタへ、ブタから蚊へのウイルス伝播のサイクルが成立します。この間にウイルスを保有する蚊が大量に発生し、日本脳炎ウイルスを保有する蚊に刺されることによって、ヒトは日本脳炎ウイルスに感染します。

症状

 日本脳炎を、発症すると高熱・頭痛・嘔吐・意識障害やけいれん等の症状を示す急性脳炎を起こします。典型的な病型は髄膜脳炎型ですが、脊髄炎症状が顕著な脊髄炎型の症例もあります。発症すると、筋強直、脳神経症状、不随意運動、振戦(細かいふるえのこと)、麻痺、病的反射等が現れますが、感覚障害は稀とされています。致死率は20〜40%(国内での過去25年間では約17%)で、幼少児や高齢者では死亡のリスクが高く、精神神経学的後遺症は生存者の45〜70%に残り、小児では特に重度の障害を残すことが多いとされています。

予防接種

〇定期接種の対象年齢
 1期:定期接種では生後6か月以上90か月未満の者(標準的には1期初回は3歳以上4歳未満、1期追加は4歳以上5歳未満)

 2期:定期接種では9歳以上13歳未満の者(標準的には9歳以上10歳未満)

 標準的な接種間隔で受けることが最も推奨されますが、何らかの理由によりその間隔を越えて接種した場合でも、定期接種の対象年齢の範囲であれば、定期接種として実施することができるようになりました。(平成26(2014)年度より)

監修:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏


※ 子育て応援団・予防接種お助けツール
予防接種のスケジュール管理ができる便利なスマートフォンのアプリ、子育て応援団・予防接種お助けツール は、お子さんの生年月日を入れておくと、いつ、どの予防接種を受けるのかマイスケジュールを作ることができます。接種の記録も入力でき、どの予防接種を何回受けたのかも、すぐに分かります。
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