重症熱性血小板減少症候群(SFTS)による、死亡例が報告されています。広島県によると、2021年7月、広島県内に住む90代の男性が重症熱性血小板減少症候群を発症。発熱が確認されてから9日後に死亡したとのことです。男性は、発症前に農作業をしており、マダニに咬まれたことが原因とみられています。

重症熱性血小板減少症候群とは

 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は、主にSFTSウイルスと呼ばれる病原体を持ったマダニに咬まれることなどにより感染し、発症する場合があります。通常、人から人へ感染することはないとされていますが、国立感染症研究所は、「血液等の患者体液との接触により人から人への感染も報告されている」としており注意が必要です。

 マダニに咬まれたのち、6日から2週間の潜伏期間を経て、主に発熱・消化器症状・頭痛・筋肉痛・神経症状・リンパ節腫脹・呼吸器症状・出血症状が出現します。重症化例の報告も少なくありません。有効な薬剤やワクチンは無く、治療は対症的な方法のみとなっています。

 これまで、広島・山口・宮崎・鹿児島など西日本での発生例が多くありましたが、千葉・愛知など東日本でも発生が確認されており、2020年は、全国で78例の発生が報告されています。2019年は101例の発症報告がありました。

マダニ

 感染症を媒介するマダニの動きは、春から秋に活発になります。体長は3-4ミリほどで、人体に寄生し皮膚から吸血します。数日間、吸血することで、3倍ほどに大きくなり、目視で見つかるケースもあります。

 また、刺し口に、かゆみや軽い痛みを感じることもあります。マダニは、主に山や草むらなどの屋外に生息しています。

予防法

 ウイルスを媒介するマダニに咬まれないようにすることです。

 夏場は、アウトドアなどのレジャーや農作業など、屋外での活動が多くなります。農作業をする場合やキャンプ場など屋外で活動する場合には、長袖・長ズボン・足を覆う靴・帽子・手袋の着用・首にタオルを巻くなど肌を露出しない服装を心掛けてください。また、屋外活動後は、シャワーや入浴、着替えを行うことも大切です。

 マダニに咬まれて、発熱などの症状が出た場合は、医療機関を受診するようにしましょう。

ネコなどのペットからの感染事例も

 厚生労働省によると、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)について、発熱・衰弱等に加え血小板減少等の所見が見られたペットのイヌ・ネコの血液・糞便から SFTS ウイルスが検出された事例や、体調不良のネコからの咬傷歴があるヒトが SFTS を発症し死亡した事例が確認されたとのことです。

 ペットを飼育している方は、過剰な触れ合い(口移しでエサを与えたり,動物を布団に入れて寝ることなど)は避けてください。動物と接触した後は、手指衛生を徹底しましょう。

高齢者だけでなく、若い人も注意

 重症熱性血小板減少症候群の発症報告は、免疫力が低下した高齢者が多いですが、30-40代など若い世代の報告もあります。年齢に関係なく、感染・発症する可能性があり、注意が必要です。

参照:国立感染症研究所HP
  広島県感染症・疾病管理センターHP
  広島県立総合技術研究所保健環境センターHP
  厚生労働省平成29年7月24日通知

感染症予防接種ナビでは、みなさまから重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の経験談を募集しています。

文:感染症ニュース取材班