厚生労働省によると、日本における細菌性食中毒の中で近年、もっとも多く報告されているのが、カンピロバクター食中毒です。

 カンピロバクター食中毒の主な原因と推定される食品、または感染源として、生の状態や加熱不足の鶏肉、調理中の取り扱い不備による二次汚染などがあげられています。2015年に国内で発生したカンピロバクター食中毒のうち、原因食品として鶏肉が疑われるもの(鶏レバーやささみなどの刺身、鶏肉のタタキ、鶏わさなどの半生製品、加熱不足の調理品など)が92件認められています。

 「感染症・予防接種ナビ」にも、鳥刺しを食べた後に、高熱と頭痛やひどい腹痛と下痢などの症状で、病院へ行った方から、経験談が寄せられました。

鹿児島県 うさぴさん(20歳)

 10/3 夜、鳥刺しを買って帰り食べる。持ち運びに時間がかかってしまい、1時間半〜2時間は常温の状態が続いていたと思う。

 10/4 胃に違和感を感じるが、特に気にするほどではなかった。

 10/5 前日からの違和感が続き、夜からは強い胃痛があった為、晩御飯は食べきれず就寝。

 10/6 6時 体のだるさ、全身の痛み(特に腰)、異常な暑さ、酷い頭痛で起床。熱を測ると39.2。
 13時 熱が全く下がらない事に耐えきれずに解熱鎮痛剤を飲む。
 15時 熱が急に下がり37.4度。
 17時〜 次は急な腹痛と下痢。あまりにも痛く、トイレから出ることが出来ない。これがずっと続く。

 10/7 前日から一切寝られず、一日中酷い腹痛と下痢に襲われる。朝は10分間隔、夜にかけて40分間隔ほどになっていった。病院に行きたかったものの、とても外に出られるような状態ではなかった。

 10/8 同様に寝ることは出来ず、朝から1時間間隔での酷い腹痛と下痢。間隔が延びてきた為、意を決して病院へ。抗生物質と解熱鎮痛剤、整腸剤を受け取り帰宅。症状は少し落ち着いてきた。

 想像を絶する痛さでした。大好きな鳥刺しも、もう食べられないです。

■鶏肉は「新鮮だから安全」ではない
 感染症の専門医で、大阪府済生会中津病院の安井良則医師は、鶏肉の生食には危険が伴うといいます。

 (安井医師)カンピロバクターの診断では、何を食べたかが判断の目安となります。鶏肉を生や半生、加熱不足の状態で食べるのはカンピロバクターに感染するおそれがあるため、危険です。

 カンピロバクターに感染し、治った後に、「ギラン・バレー症候群」を発症することもあります。ギラン・バレー症候群にかかると、手足のしびれや麻痺が起こります。重症化すると、呼吸筋が麻痺して人工呼吸器の装着を行い、場合によっては亡くなる例もあります。

 厚生労働省では、飲食店向けにリーフレットを作成し、鶏肉が「新鮮だから安全」ではないことを強調しています。生や半生、加熱不足の鶏肉料理がカンピロバクター食中毒を引き起こすおそれがあるとして、注意するよう呼びかけています。

 家庭でも、鶏肉の生食は避け、調理の際は中心部までしっかり加熱するよう、気をつけましょう。

<おことわり>ご紹介する経験談は、あくまでも投稿者個人の症状や意見です。
◇感染症・予防接種ナビでは、みなさまからの感染症経験談を募集しています。

引用:厚生労働省「カンピロバクター食中毒予防について(Q&A)」
「パンフレット飲食店用」
取材:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏