ノロウイルス感染症は保育園や幼稚園などの集団生活で発生しやすいとされています。感染経路は接触感染と経口感染です。特に、ノロウイルスに感染した人が嘔吐し、嘔吐物の処理を適切に行わなかった場合、その場に残ったウイルスにより、他の人が感染するおそれがあります。

 ノロウイルス感染症にかかった場合の対応について、大阪府済生会中津病院の安井良則医師にお話を伺いました。

嘔吐や下痢が1日から1日半続く

 (安井医師)ノロウイルス感染症は保育園や幼稚園、小学校などの集団生活で、感染が多くみられる感染症です。ノロウイルスに感染すると、1日〜1日半、多い時には10回以上の嘔吐や下痢の症状が続きます。ノロウイルスは有効とされるワクチンや薬がまだ開発されていないため、対処療法を行います。下痢止めを飲むと、ウイルスが体内に残ってしまうため、飲まないようにしましょう。嘔吐や下痢が続いている時は、脱水症状に注意して下さい。水分を補給する際には、電解質輸液が効果的です。

 以前、小学校の朝礼中にノロウイルスの集団感染が起こった事例があります。前日に体育館でノロウイルスに感染していた人が嘔吐し、モップでその場を清掃はしていたものの、消毒を行っていなかったため、その場に残っていたウイルスが、次の日の朝礼で多くの子どもに感染してしまったと考えられます。その後、清掃に使用したモップからも大量のノロウイルスが検出されました。嘔吐物はその場に放置せず、すぐに適切な処理を行いましょう。

 ウイルスが付着していると考えられる物品の消毒については、次亜塩素酸ナトリウムを用いて行いましょう。使用する濃度は500ppmが推奨されます。

 熱湯での消毒を行う場合は、85℃以上で煮沸しましょう。ただし、熱湯による消毒は食器や衣類や布製品の一部等、使用できる範囲は限定的です。

 嘔吐や下痢などの症状が改善しても24時間は、自宅で様子をみるようにしましょう。症状がなくなったからといって、登園もしくは登校させると、集団感染につながるおそれがあります。

適切な嘔吐物の処理

 ノロウイルスに関係していると考えられる嘔吐物や下痢便を発見した場合には、しっかりとペーパータオル等で拭き取り、取り除いたあとの場所を塩素系の消毒剤でしっかりと消毒することが大切です。

(1)嘔吐物や下痢便の処理をする時には、マスク、手袋、ゴーグルなどをして、直接ウイルスが体につかないようにする。

(2)処理をする人以外を近づけないようにする。

(3)嘔吐物や下痢便をペーパータオルなどでよく拭き取り、ビニール袋に入れて密封してから捨てる。

(4)汚物を取り除いた後の床には、まだノロウイルスが残っているので塩素系消毒薬で消毒する。家庭用の塩素系漂白剤の原液を水で薄めたもので消毒剤ができる。(10倍以上に薄めて、濃度500ppmで消毒)

(5)汚物のあった場所を中心に広い範囲を消毒する。ノロウイルス感染症を発症されている方は体のあちこちにウイルスが付着しているのでドアノブ、階段の手すり、トイレの便座なども塩素系の消毒剤でこまめに拭きとり消毒する。

(6)タオルは別々に使い、使いまわしを避ける。

 もし、嘔吐物や下痢便が服についてしまったら、捨てるか、次亜塩素酸ナトリウムにつけるか、85℃以上の熱湯で煮沸消毒を行いましょう。

取材:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏