厚生労働省は、「乳幼児期の特性を踏まえた保育所における感染症対策」についてガイドラインを発表しています。

 乳幼児のお子さんがいらっしゃるご家庭で気になる、保育所などへの登園の目安と症状が記載されています。今回は、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌感染症)についてです。

症状および特徴

 主な症状として、扁桃炎、伝染性膿痂(とびひ)、中耳炎、肺炎、化膿性関節炎、骨髄炎、髄膜炎等、症状は様々です。扁桃炎の症状としては、発熱やのどの痛み・腫れ、化膿、リンパ節炎が生じます。舌が苺状に赤く腫れ、全身に鮮紅色の発しんが出ます。また、発しんがおさまった後、指の皮がむけることがあります。

 適切に治療すれば後遺症がなく治癒しますが、治療が不十分な場合には、発症して数週間後にリウマチ熱、腎炎等を合併することがありますので注意が必要です。稀に、敗血症性ショックを示す劇症型もあります。

感染経路

 主な感染経路は、飛沫感染及び接触感染です。食品を介して経口感染する場合もあります。

流行状況

 毎年、「冬」及び「春から初夏にかけて」という2つの時期に流行します。不顕性感染例が15〜30%いると報告されていますが、不顕性感染例から感染することは、稀であると考えられています。

 ※不顕性感染…病原体(菌やウイルスなど)に感染しているにも関わらず、明らかな症状がみられないこと。

予防・治療方法

 ワクチンはまだ開発されていません。飛沫感染や接触感染により感染するため、手洗いの励行等の一般的な予防法を実施することが大切です。発症した場合、適切な抗菌薬によって治療され、多くの場合には後遺症もなく治癒します。合併症を予防するため、症状が治まってからも決められた期間、抗菌薬を飲み続けることが必要です。

登園の目安

 罹患した場合の登園の目安は、「抗菌薬の内服後24〜48時間が経過していること」です。

きょうだい間や学校での集団生活で感染のおそれ

 溶連菌感染症について、感染症専門医で、大阪府済生会中津病院に勤務する安井良則医師にお話を伺いました。

 (安井医師)溶連菌感染症は、主に保育所や幼稚園の年長から小学校低学年で流行します。特徴的な症状として、舌に白苔がつきます。抗菌薬は処方された日数分を、きちんと飲み切ることが大切です。症状が良くなったからといって、薬を飲むのを止めてしまうと、合併症などのおそれもあります。

 例年、6〜7月と12月にピークを迎え、学校などでの集団生活や、きょうだい間での接触を通じて感染が広がるので、注意が必要です。

 一方、感染した場合でも発病しないケースもあり、集団の中で保菌したまま、周囲に感染を広げてしまう場合もあります。そのため保育所や幼稚園、小学校などで一度、流行が始まると押さえにくい傾向があります。お子さんのいる家庭では、身の回りの流行にも気配りが必要です。

 溶連菌感染症については、マイクロ飛沫感染はありませんが、新型コロナウイルス感染症同様、飛沫対策としてのマスク着用や、手指のアルコール消毒を心がけてください。

引用:厚生労働省「保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)」
取材:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏