RSウイルス感染症の感染者は、依然として増え続けています。国立感染症研究所の第27週(7/4-7/10)速報データによると、RSウイルス感染症の定点当たりの報告数が、前週と比べて全国で約1.6倍と、前々週と比べると約2.5倍と、拡大傾向が止まりません。

 都道府県別に見ると、三重、愛知、島根、大阪、岐阜の定点あたりの報告数は依然として多く、さらには、秋田、兵庫、愛媛、大分の報告数が伸びています。関東地方も増加傾向にあり、流行は全国に広がりつつあると言えます。

感染症の専門医は・・・

 感染症の専門医で、大阪府済生会中津病院の安井良則医師は、この流行拡大に警鐘を鳴らしています。

 「RSウイルス感染症は、特に乳幼児に関しては、重症化のリスクがある感染症です。過去には死亡事例もありますし、入院が必要なケースもあります。」

RSウイルス感染症とは?

 RSウイルス感染症の原因となるRSウイルスは、日本を含め世界中に分布しています。何度も感染と発症を繰り返しますが、生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%の子どもがRSウイルスに少なくとも1度は感染するとされています。

 RSウイルス感染症は呼吸器の感染症で、症状としては、軽い風邪のような症状から、思い肺炎まで様々です。子どもがヒューヒュー、ゼイゼイと呼吸を苦しそうにしているときは、RSウイルス感染症かもしれません。

RSウイルス感染症はなぜ乳幼児にとって危険な感染症なのか

 RSウイルス感染症は、大人や、何度も感染したことがある子どもにとっては、風邪程度の症状で済むか、あるいは全く症状が出ない場合もあります。しかし、乳幼児、特に生後数週間から数か月の赤ちゃんがRSのウイルスに初めて感染した場合は、細気管支炎、肺炎といった重篤な症状になることがあり、呼吸をすることが難しくなることもあります。突然死につながる無呼吸発作を起こすこともあるのです。

新型コロナウイルス感染症の流行が、RSウイルス感染症の診察を難しくしている

 また、安井医師は、新型コロナウイルス感染症との同時流行が気がかりだとしています。

 「RSウイルス感染症の症状に、発熱もあります。ですので、熱がある場合は発熱外来を受診することになりますが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で、発熱外来が今とても混雑していて、すぐに受診できない可能性があります。もし、赤ちゃんの発熱がRSウイルスによるものであったら、そして呼吸困難を伴う症状があれば、入院して呼吸管理をしなければならないという場合もあります。RSウイルス感染症は、急に症状が悪化する場合もあるので、医療ひっ迫の影響を避けて、ちゃんと受診できるような体制を作らなければいけないと思っています」

赤ちゃんのヒューヒュー、ゼイゼイ、ちょっとした変化にも要注意

 RSウイルス感染症は、咳がひどくなる、喘鳴(ぜんめい・・・呼吸をする時ヒューヒュー、ゼイゼイという音がする)、などの症状が出て、その後呼吸困難になるおそれがあります。特に乳児期早期(生後数週間〜数か月)の赤ちゃんには注意が必要です。

 また、元気がない、ミルクの飲み方が少ないなど、赤ちゃんのちょっとした変化にも注意を払ってください。午前中は元気だったのに、夕方に急に症状が出るなど、比較的急激に悪化する場合もあります。少しでも気になるようであれば、かかりつけ医に診察してもらい、その指示に従ってください。

赤ちゃんはコロナよりも、RSウイルスを心配して

 安井医師は、「赤ちゃんにとっては、新型コロナウイルス感染症よりも、RSウイルス感染症の方が重篤になるおそれがあります」と話しています。

 感染経路は飛沫感染と接触感染です。日常の手洗いなど、手指の衛生に気をつけ、大人でも子どもでも、少しでも咳などの呼吸器症状があればマスクを着用し、0歳児や1歳児との接触は避けるようにしましょう。また、おもちゃなど子どもたちが日常的に触れるおもちゃや手すりなどは、こまめにアルコールや塩素系の消毒剤などで消毒することが重要です。

引用
厚生労働省 RSウイルス感染症Q&A

取材
大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏