遺伝子の機能不全で起きる病気

先天性の病気のなかには、出生直後にはとくに異常がみられず、乳児期後半や幼児期になってから特徴的な行動や症状が徐々にあらわれてきて発見されるものがしばしばあります。指定難病であり、重い知的障害をともなうアンジェルマン症候群もその1つです。

◆アンジェルマン症候群は1万5000人に1人くらいの割合で、遺伝子の異常が原因で発症する知的障害をともなう病気です。生まれた直後はとくに問題がなく正常に見えることが多いのですが、生後6カ月以降、1歳を迎える前後から発達の遅れが目立ってきます。

◆診断に至ることが多い時期は、典型的な行動や症状がはっきりしてくる3〜7歳ごろ。必ずみられる症状には言語障害があり、言葉はまったく発しないか、発してもわずかです。しかし言語を理解することはでき、感受性は鋭いので非言語での交流はできることが多いといいます。また、幸福感が高く笑顔が多いことが知られています。

◆失調性歩行と手足の震えなど、動作や体のバランスの異常も特徴的な症状です。うれしいときなどに興奮しやすく、頻繁に笑ったりほほえんだりし、手を羽ばたかせたりするなどの行動も典型的な症状です。多動で集中力に欠けるところがあります。

◆身体的には頭囲の発達が遅れる小頭症を2歳ごろまでに発症し、特徴的な脳波の異常がみられます。3歳前後からてんかん発作が起きる子どもも多く、発作のコントロールが重要です。顔立ちの傾向として、下あごが突き出す、口が大きいといった点があげられています。診断後は、小児慢性特定疾患に指定されているため、医療費などの公的助成を申請することができます。

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(監修:医療法人社団秀志会 松平小児科院長 松平隆光)