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週末に行われたバレンシア戦にてレアル・マドリードでは、ジュニオール・ヴィニシウスに対して猿の鳴き真似など、試合中に人種差別的な侮辱行為を何度も受けていたことについて、週が明けた月曜日にクラブ公式で「「社会的、民主的な、法治国家における共存に対する攻撃」について、「最大限の非難」をあらわにしている。「憎しみや人種差別意識は我々の社会から根絶されなくてはならない。これは今回の件を受けてあらゆる分野の著名人、各国の国際機関からの意見でもある」ともしており、エムパベやネイマール、クロースら声を上げた人々、そしてヴィニシウスへの全面支持を表明するとともに、このような場合には将来的には試合を中止すべきとの考えも示していたジャンニ・インファンティーノFIFA会長に対する感謝の気持ちも示した。
アンチェロッティ監督「なぜ試合が中断にならない?」
実際にFIFAではこのような場合の推奨対策として、まずは一時中断して事態を説明し、それでも続くようであれば選手を引き上げさせ試合中止の可能性を伝え、それでも続くならば中止にするようにとしているが、今季だけで8試合もこのような状況にあったラ・リーガ、そしてセリエAやプレミアリーグでも繰り返し発生しているが実際に中止となったケースはない。それは実際にアンチェロッティ監督が試合直後から指摘していたポイントだった。レアルは今回の声明で「国際メディアによって世界中で報じられてしまっているサッカー界の恥部」とし、スペインサッカー連盟や審判員に対して「責任回避」と批判を展開。ファーディナンド氏も「スペインでは誰がヴィニシウスを擁護しているだろう」と苦言を呈していた。
ヴィニシウスvsラ・リーガ会長
とりわけ今回はラ・リーガのラ・リーガのハビエル・テバス会長の発言問題もヒートアップさせる要因となった背景がある。試合後にヴィニシウスが「ラ・リーガでは、責任者であっても人種差別は普通だ。そして、対戦相手もそれを奨励している」と投稿した件に、テバス会長はむしろ人種差別問題に関し合意した2つの約束に出頭しなかったと同選手への非難を投稿。これにヴィニシウスは「それでは人種差別主義者と同列に扱われる」と反論したが、時をおかずテバス会長は、”普通”と表現したラ・リーガにおける報告された9件(うち8件がヴィニシウス関連)はむしろ「特殊」なケースであるとし、あくまで人種差別に対してラ・リーガとしては最大限に取り組んでいることの理解を求めた。
悪化の一途辿る人種差別問題、バレンシアは「生涯出禁」を発表
だがアンチェロッティ監督が「スタジアム全体で人種差別をする光景を目の当たりにしたのは初めてのことだ」と語ったように、悪化の一途を辿るこの問題は新たな次元へと突入した感が否めない。確かにヴィニシウスは特に目立つ存在にはなっているものの、被害にあっているのはアスレティック(ビルバオ)のイナキやニコ・ウィリアムズ、ビジャレアルのサミュエル・チュクウェゼ、そしてレアルで同僚のアントニオ・リュディガーも被害を受けてきた。なおバレンシアFCも月曜日の午後に発表を行い、この件で確認がなされる全てのファンは生涯スタジアムから追放されると書いた。