2005年からボルシア・ドルトムントに在籍する元ドイツ代表DFマルセル・シュメルツァは、現在のメンバーにおいて最も長くチームに在籍し続ける最古参だ。そしてその中ではリーグ連覇、国内二冠達成、CL決勝、主将、そして憎まれ役など、まさに酸いも甘いも経験。ただとりわけ強く印象に残っていることは、やはり主将の辞任を決断した1年半前の出来事だろう。

 木曜発売のkicker誌でのインタビューにて、同選手は当時を振り返り「とにかく心機一転、新らしいスタートを切りたいと思っていた。公の場に立って自分の意見を言わなくてはならないとか、それで気持ちが落ち着くとか、そういうことは僕にはないんだ」とコメント。「チームプレイヤーの一人として、背後からチームの成功のために全力を尽くしていきたい」との考えを語った。

 それまで2年に渡り務めていた主将を辞任する決断を下すにあたり、シュメルツァは「大切な人の意見」があったことを明かしており、「例えば、ユルゲン・クロップ監督とかね」と説明。長年に渡りドルトムントの指揮官を務めたクロップ氏からは、当時「私の知る、マルセル・シュメルツァではない」と伝えられたという。「その時は混乱していたし、正直その言葉の意味さえわからなかった」と、シュメルツァ。

 「そしてクロップ監督は説明してくれたんだ。君はファンの期待に応えようと、監督の期待に応えようと、チームメイトやクラブの期待に応えようとしている。そういう感覚を我々は覚える。だが、君自身はどうなんだ?君は非常に大きな重圧にさらされている。君自身の期待に応えるように努めなさい、と」

 もしもここで主将の任務から外れる決断を下すことになれば、おそらく周囲からは主将の任務を外されたという声や、主将を担うには力不足だったとの声も挙がることにはなるだろう。それはわかっていた。だがそれでもシュメルツァはこの時、1つの結論に到る。「あの言葉は、芯を食っていた」

 ちょうど2018年夏、ボルシア・ドルトムントは新指揮官としてルシアン・ファヴレ監督を招聘。「僕にとって大切なことは、ルシアン・ファヴレ監督就任1年目に、再び良い役割を担えるようにしていくことだと、はっきりとしていた」それが功を奏してか、再び輝きを取り戻したシュメルツァは再び主力としてプレー。しかし間も無くして負傷により離脱。また一部のファンから心ないブーイングが浴びせられる事も経験。最終的にシーズン終了時には、定位置争いにおいて厳しい立場に置かれていた。

 そんな中、この夏にシュメルツァは移籍成立間近のところまできていたことを明かしている。「海外のあるクラブとの間で全てがクリアになっていたんだ。指導者となった時を考えて見事な練習施設、そしてトレーニングやプレー自体も含めてね。あの時の僕にとっては、それが最も重要なポイントだといえた。引退後にその道に進みたいと考えているから。トータルパッケージでとても魅力的だったし、完璧だといえたよ」

 しかしながらドルトムントからシュメルツァに対して出された結論は、移籍には応じられないというものだった。「それを、僕は受け入れた。確かに、とても大きな失望を感じていたよ。だってあの時にはすでに、僕はここで余り出場機会を得られるようなチャンスは無いだろうという事は、わかっていた事だったから。そして実際に、そうなっているわけだしね」