北陸電力は電力需要がピークとなる夏を迎え、火力発電所の稼働の妨げになるクラゲの流入対策を強化している。昨年夏はクラゲが相次いで押し寄せ、富山新港火力発電所1号機(射水市)が運転を一時停止したほか、各発電所で出力を抑制する事態が起きた。本年度はクラゲを排除する気泡発生装置の能力をアップし、監視カメラも増設。“海の厄介者”を速やかに排除する体制を構築して、電力の安定供給につなげる構えだ。(経済部次長・高松剛) 北電によると、クラゲは水温が上昇する6〜9月に出現する。ほとんどが体長10〜40センチの「ミズクラゲ」。通常は取水口付近にある除塵装置(ロータリースクリーン)で海中のゴミなどとともに除去する。だが、大量になると装置の能力が追い付かず運転に必要な冷却水を確保できなくなるため、出力を抑えたり、停止させたりする必要がある。 クラゲ対策の一環として増強した気泡発生装置は、穴の開いたゴム管と空気を送るコンプレッサーで構成。水中に設置したゴム管に空気を送ると、発生した気泡がクラゲの傘に入ってクラゲ全体を浮き上がらせる。水面に浮かんだクラゲは近くの漂流物防止ゲート(カーテンウォール)に遮られるため、取水口への侵入を防ぐことができる。 敦賀火力発電所(福井県敦賀市)が本年度から運用を本格化したのをはじめ、富山火力発電所(富山市)では今夏、コンプレッサーを1基増設し、気泡の発生量を5割増やした。富山新港火力発電所では、発生させる気泡の大きさや数による効果の違いを検証している。 さらに富山火力ではクラゲの接近状況をより正確に確認するため、取水口付近に加えて発電所により近い場所にも監視カメラを増設した。 北電によると、クラゲの大量流入が相次いだ昨年夏は前年同期より10日増の26日間で出力抑制を実施。富山新港火力発電所1号機の運転を止めた7月29日は他の火力発電所でもクラゲの影響を受け、全体では計91万キロワットの供給力低下につながったという。 一方、今夏はこれまでのところクラゲの出現回数が少なく、出力抑制日数は7月の2日間にとどまっている。ただ、クラゲは出現頻度や見通しを予測することが難しいため引き続き警戒は必要という。塩谷誓勝執行役員火力部長は「去年はクラゲで痛い目に遭っただけに、本年度の対策は本腰を入れている。できる限りの手を打ち、電力の安定供給を図りたい」と話している。