■乗り換えなしで割安/所要時間、鉄路に匹敵 県内と名古屋を結ぶ高速バスの利用が伸びている。北陸新幹線の開通後、鉄道でのアクセスは米原経由の場合は金沢乗り換えが必要となり、鉄路と所要時間がほぼ同じで割安なバスへシフトしているとみられる。増便や新車両の導入で利便性や快適性も向上。夏休みを間近に控え、乗客はさらに増えそうだ。(文化部・高野由邦) 富山地方鉄道(富山市桜町)は富山−名古屋線を1日14往復運行する。2004年に2往復でスタート。当初4時間以上かかっていた所要時間は東海北陸道の開通で3時間40分に短縮した。料金は片道4630円、往復7410円。運賃と特急料金で片道8千円を超える金沢経由の鉄路に比べると安い。 16年度の利用者数は初年度の6・6倍に上り、今春には累計乗客数が100万人に達した。東京線や京都・大阪線などに比べても突出した伸びだという。名古屋で人気グループのコンサートなどがある日は、若者らですぐに満席となり、臨時増発することもある。途中休憩を挟むので、愛煙家も利用しやすいという。 娘が名古屋に住む富山市水橋伊勢屋の自営業、士反(したん)博美さん(56)は「新幹線開業後に金沢で乗り換えが必要となった鉄道よりも使い勝手がいい。料金が安く、インターネットで予約できるのも便利」と話す。 同社の新庄一洋取締役自動車部長は「観光や仕事など目的は幅広く、大きなビジネスチャンス。地元交通機関として交流人口の拡大に貢献したい」と意気込む。 名古屋線の好調を受け、車内の快適性を向上させる動きもある。加越能バス(高岡市江尻)は車中でゆったりとくつろいでもらうため、今月18日に、4台目となる3列シートの車両を導入する。無料Wi−Fi(ワイファイ)に対応し、携帯端末利用者の利便性も高めた。イルカ交通(小矢部市芹川)も名古屋線で3列シート車を5台使っている。西村寛専務は「将来的には全便に取り入れたい」と話す。 両社が運行する名古屋線はいずれも県西部を発着し、片道3千円から。利用増を受けて昨年、両社とも1日5往復から6往復に増便した。 北陸への観光客誘致を目指し、広域観光にも力を入れる。加越能バスは高岡でライナーバスに乗り換え、氷見や和倉温泉へ向かう割安プランを用意する。同社の松崎貴行営業課長代理は「温泉やグルメなどさまざまな旅行シーンを想定し、中京圏の人たちの利用も促したい」と話した。