乗客106人が死亡した2005年の尼崎JR脱線事故で、業務上過失致死傷罪で強制起訴されたJR西日本歴代3社長について、無罪とした一、二審判決が20日午前0時に確定した。最高裁の上告棄却の決定に対し、検察官役の指定弁護士は期限の19日までに異議を申し立てなかった。

 3人は井手正敬元会長(82)、南谷昌二郎元会長(75)、垣内剛元社長(73)。検察審査会の議決に基づき、10年4月に強制起訴された。最高裁は12日付で指定弁護士の上告棄却を決定し、3人を無罪とした一、二審判決を支持した。

 一連の裁判では、3人が事故を予見できたかどうかが争点となった。指定弁護士は「自動列車停止装置(ATS)の整備を指示すべき業務上の注意義務を怠った」と主張。最高裁決定は「事故前の法令ではカーブへのATS整備は義務ではなく、現場カーブの危険性が特に高いと認識もできなかった」とし、3人に注意義務はなかったと結論付けた。

 無罪確定で、刑事裁判は事故の責任の所在を明らかにしないまま幕切れとなった。河瀬真・指定弁護士は「最高裁の裁判官4人の全員一致で出された決定であり、受け入れざるを得ないと判断した」と話した。

 指定弁護士は28日、神戸市中央区内で事故の遺族や負傷者に向けた説明会を開く。(田中宏樹)