兵庫県加古川市は5日、認知症を発症する前段階の「軽度認知障害(MCI)」の早期発見に向け、NTT西日本(大阪市)など3社と協力し、高齢者を対象とした実証実験を11月以降に始めると発表した。市内の防犯カメラに内蔵された検知器や、室内に設置するセンサーで高齢者の行動データを収集。人工知能(AI)で分析し、日常の行動とMCIの関連性を解明し、認知症予防に役立てるという。


 MCIは、認知症と正常のグレーゾーンで、認知症に進行する可能性がある。生活習慣を見直すなどの対策を行えば症状が回復したり、認知症発症を遅らせたりできるが、本人や家族は気付きにくいとされる。

 加古川市とNTT西、綜合警備保障(東京)、ヘルスケアAI開発の「ジョージ・アンド・ショーン」(同)が協力してデータを集積、発症傾向を見いだす。

 4者は同市内で高齢者200人を募り、MCIかどうかを随時テストなどで確認しながら、約1年かけて実験する。高齢者宅の家電やベッドにセンサーを取り付け、夜中に目覚めたかなどの睡眠状況や、家電の使用状況といったデータを収集。MCIのテスト結果との比較分析をAIで行う。

 さらに検知器を内蔵した市内約1500台の防犯カメラが、500円玉大ほどの小型発信器(BLEタグ)を身に着けた高齢者の移動情報を集める。市は行方が分からなくなった高齢者の所在を家族のスマートフォンに知らせる「見守りサービス」を実施しており、この仕組みを活用するという。

 NTT西などは既に、高齢者向け住宅などで同様の実験に着手しているが、自治体との共同実施は全国初という。加古川市の岡田康裕市長は「超高齢社会の課題解決に向けたサービス開発に参画できるのは、市としてもうれしい」としている。(切貫滋巨)