サムスン電子のイ・ジェヨン副会長が今月初め、欧州を訪問する可能性が高くなり、英国の半導体企業ARMの買収可能性が急浮上している。世界1位の半導体設計資産(IP)企業ARMが売りに出されている。イ副会長が欧州出張中に英国に立ち寄ってARMの買収戦参戦を公式化できるという観測も出ている。韓国メディア「BLOTER」が報じた。(写真:イ副会長がキフンR&Dセンター起工式に参席している様子=サムスン電子)
原文記事:https://www.bloter.net/newsView/blt202209040001

4日、業界によると、イ副会長は今月中に2030釜山(プサン)万博(釜山エキスポ)誘致大統領特使として英国を訪問する予定だという。イ副会長はエキスポ開催地の決定に投票権を持つ国際博覧会機構(BIE)の関係者に会い、支持を訴える計画だ。

市場はエキスポではなく、サムスン電子のビックディールの可能性に注目している。別途基準16兆ウォン(約1兆6460億円)、連結基準125兆ウォン(約12兆8592億円)の現金性資産を保有しているサムスン電子がビッグディールに参入できるという観測が出ている。サムスン電子は2016年、米国電装企業のハーマンを10兆ウォン(約1兆287億円)で買収した後、M&Aに乗り出していない。イ副会長の復権と共にサムスン電子がビッグディールに乗り出す可能性が高いという観測が出ている。

ARMはサムスン電子の有力な買収候補の一つだ。英国に本社を置くARMは、コンピューターのCPUとスマートフォンの頭脳と呼ばれるAPチップ設計の核心技術を持っている。サムスン電子とクアルコムなどはARMの設計を基盤に自社の半導体チップを生産する。特にARMのAP市場シェアは約90%に達する。ファブレス(半導体設計)企業のファブレスと呼ばれるほど業界で重要度が相当高い。

NVIDIAは2020年にARM買収を推進したが、独占寡占を憂慮したライバル会社と主要国などの反対で失敗に終わった。400億ドル(約55兆ウォン、約5兆6086億円)を投入し、日本ソフトバンクが保有しているARM経営権買収を推進した。ソフトバンクはARM売却が失敗に終わると、米ナスダック上場に方向を変えた。企業公開を通じて企業価値を500~600億ドル(68~82兆ウォン、約7兆107億円~約8兆4129億円)に高めるという戦略だ。

ARMが上場する場合、買収はさらに難しくなりかねない。買収価格がさらに上がる場合、買収自体が実現しにくいという観測だ。そのため、業界ではARM買収に関心があった企業が積極的に乗り出すものと見ている。

サムスン電子はARMの有力な買収候補の一つだ。ARMを買収する場合、サムスン電子の競争力は大幅に高まるものと期待される。サムスン電子が掲げる最上位モバイルAPであるエクシノスプロセッサーにARM IPを活用している。サムスン電子は2030年までにシステム半導体業界1位を狙っている。サムスン電子がARMを買収する場合、シナジー効果が大きいものと予想される。

ARMの買収効果とサムスン電子の現金保有量によって、市場ではうわさだけが飛び交っている状況だ。今年第2四半期基準、サムスン電子の現金性資産は連結基準125兆2651億ウォン(約12兆8863億円)に達する。100兆ウォン(約10兆2872億円)を超える現金性資産はサムスン電子が保有している従属企業などに均等に分布している。サムスン電子の別途基準の現金性資産は16兆1833億ウォン(約1兆6648億円)だ。保有現金を全てM&Aに使うことができないだけに、サムスン電子は財務的投資家(FI)または共同買収候補者を探す可能性が高い。

米IT専門誌CRNなど海外メディアは、サムスン電子とインテルがARM共同買収に乗り出す可能性もあると見通した。市場調査会社のエンドポイントテクノロジー・アソシエイツは先月30日、サムスン電子のイ・ジェヨン副会長とインテルのパット・ゲルシンガー最高経営者(CEO)が会ってARM共同投資を議論した可能性があると主張した。サムスン電子とインテルはいずれもARM買収で相当な買収効果を得られるところだ。

サムスン電子とインテルは共同買収を通じて買収負担を減らす一方、買収効果はそのまま得られる。反独占規制を通過するためにはサムスン電子の単独買収より共同買収が有利だ。

業界関係者は「イ副会長の欧州出張を基点にサムスン電子のARM買収可否は輪郭が定まるだろう」とし「車両向け半導体企業インフィニオンとNXPなどがサムスン電子の買収候補として取り上げられたが、半導体事業の競争力側面ではARMがより価値がある」と述べた。

一方、SKハイニックスのパク・ジョンホ副会長は今年初め、ARM買収のためのコンソーシアム構成の可能性に言及した。パク副会長は「ARMは一つの会社が買収できる企業ではないと考える」とし「戦略的投資家と共にコンソーシアムで買収する方案を検討中」と述べた。

著者:コリアエレクトロニクス編集部