ソフトバンクの孫正義会長が韓国を訪問し、サムスン電子のイ・ジェヨン副会長に会い、ARMとの提携を公式に議論する計画であることを明らかにしたことで、ARM買収戦が熱くなる雰囲気だ。SKハイニックスもまた、ARM買収を考慮すると明らかにしている。サムスン電子とSKハイニックスの両方とも買収を推進すれば、金額よりは独占や寡占回避がカギになると見られる。韓国メディア「newswatch」が報じた。(写真:ARMホームページ)
原文記事:http://www.newswatch.kr/news/articleView.html?idxno=60348

21日、米ブルームバーグ通信によると、ソフトバンクのスポークスマンは「孫正義会長がサムスン電子とARMに対する戦略的提携を議論する予定であり、今回の韓国訪問に対して期待している」と明らかにした。

サムスン電子は2018年のカンファレンスコールを通じて「3年内に意味あるM&Aを進進める」と明らかにしたが、COVID-19とイ・ジェヨン副会長の司法リスクで特別な動きを見せていなかった。だが、最近イ・ジェヨン副会長が光復節恩赦として赦免されたことにより責任経営に乗り出すことができ、積極的にM&Aを推進するだろうという見通しが出てきた。

特にARMは、サムスン電子に足りない半導体設計技術を満たすことができるという点で魅力的な売り物だ。ARMはAPメーカーに設計図面を提供し、これを土台にアップルとクアルコム、サムスン電子などが自主的に最適化しAPを製作する。ARMのAP設計市場シェアは90%と知られている。

特にサムスン電子としては独自開発したAPエクシノスシリーズが市場で思ったより良くない反応を得ている間に、アップルで「高コスパ」という言葉が出てくるほどAPを向上させた製品をスマートフォンとタブレットに装着しており危機感が大きくなっている。実際、エクシノス2200が搭載されたGalaxy S22のベンチマーク点数はシングルコア基準1073、マルチコア基準3389点であり、A15が搭載されたiPhone13はそれぞれ1738と4766点と知られている。

SKハイニックスとしてはARMの買収がメモリ半導体に重点を置いた事業を多角化できる機会だ。また、最近キーファウンドリを買収し、強化中のファウンドリ事業を拡大するのにもARM買収が役立つという分析だ。

ARMの身代金は現在約55兆ウォン(約5兆5482億円)に達すると考えられ、買収戦が熱くなる場合、サムスン電子が有利だ。サムスン電子は今年上半期末基準で利益剰余金が199兆ウォン(約20兆745億円)、SKハイニックスは59兆ウォン(約5兆9517億円)を保有している。

問題はサムスン電子もSKハイニックスも一社ではARMを買収するのが難しいという点だ。これに先立ち、ARM買収を試みたNVIDIAに対して英国CMA(競争市場庁)は「NVIDIAのARM買収が公正競争問題を呼び起こすだろう」と指摘し、米国FTCも「不法な垂直結合」とし「チップ設計図を提供するARMとこれを供給されチップを生産するNVIDIAの結合は次世代技術の競争を遮るだろう」と否定的な意見を示した。

サムスン電子とSKハイニックスの買収の試みがこれと大きく異なるものと見られ、これに伴いクアルコム、メディアテックまたはインテルなどとコンソーシアムを構成して買収するだろうという意見が出ている。そのような点で、現在メモリ半導体製造比重が高いSKハイニックスが半導体設計から製造、ファウンドリまで営むサムスン電子よりコンソーシアムを構成するのに有利であり、独占寡占に対する憂慮も低い。

サムスン電子としては、完全買収よりは今回の機会を通じて持分を確保し、戦略的な協力体系を構築することを優先的に推進することもできる。一部ではSKハイニックスやクアルコムともコンソーシアムを構成できるという意見が出ているが、ライバルとの共生がソフトバンクまたはARMと1対1で戦略的協力を強化するより大きく良い点はなさそうだ。

むしろARM持分の一部を確保しながら他の売り物を探してみるのがサムスン電子の未来のためにより良い選択かもしれない。業界では、サムスン電子が自動車用マイクロコントローラユニット(MCU)と電力半導体(PMIC)を生産するドイツのインフィニオンやオランダのNXPを狙う可能性もあるという意見がある。車両向け半導体市場にまだ絶対的優位に立っている企業がなく、競争に値するという点とハーマンとのシナジー効果を期待できるという点がARM買収よりも長所と考えられる。

著者:コリアエレクトロニクス編集部