日韓両国政府が2019年に強化した輸出規制を以前の状態に戻すことにした。韓国メディア「newsis」が報じた。(写真:newsis)
原文記事:https://newsis.com/view/?id=NISX20230307_0002216806&cID=13001

韓国国内の半導体業界では大手企業を中心にサプライチェーン不確実性解消と日本素材・部品・装備企業間の共同技術開発などが期待されるとし、これを歓迎している。反面、国内素材・部品・装備部門の中小企業は国産化政策支援縮小で競争力低下を憂慮している様子だ。

7日、半導体業界は米・中覇権競争にともなうサプライチェーン不安と世界景気低迷まで重なった状況で日韓関係回復が業界の突破口になりうると見ている。

産業研究院のキム・ヤンペン専門研究員は「日本との関係回復は産業競争力確保次元で重要な分岐点になりうる」と評価した。

サムスン電子はすでに日韓関係の改善に合わせてサプライチェーンの安定化を図ると同時に、車両用半導体事業の拡大に向けた協力を固めた。

吉田憲一郎会長をはじめソニーの経営陣は前日、サムスン電子の半導体事業所を訪問した。ソニーはサムスン電子のメモリ半導体顧客企業で、最近未来の収益源として打ち出したモビリティ事業で、サムスンとのコラボレーションを議論したものと見られる。

ソニーの経営陣は、京畿道平沢市(キョンギド・ピョンテクシ)にあるサムスン電子半導体事業所を訪問し、キョン・ゲヒョン代表(DS部門長)、イ・ジョンベメモリ事業部長ら半導体経営陣に会った。吉田会長は平沢(ピョンテク)キャンパスを訪問した後、忠清南道牙山(チュンチョンナム・ドアサン)のサムスンディスプレイ事業所まで訪れたという。

ソニーはイメージセンサー市場では競争関係だが、メモリ半導体、テレビパネル市場ではサムスン電子とディスプレイが部品を供給する協力関係だ。

業界ではホンダと共に自動車開発に乗り出したソニーが、車両用メモリ半導体分野でサムスン電子と協力する可能性が高いという立場だ。サムスン電子は2025年の車両用メモリ半導体1位を目指す。

急速に日韓関係が改善されるや一部では企業規模にともなう「利益両極化」憂慮も聞こえる。

日韓関係が回復すれば、国内半導体メーカーと日本の素材・部品・装備企業間の取引が再び円滑になり、輸出規制で成長した国内中小企業の競争力が弱まりかねないという分析だ。

産業省によると、100大素材・部品・装備核心戦略技術関連輸入額の日本比重は2018年32.6%から2022年21.9%に10.7%p減少した。特に半導体分野100大素材・部品・装備核心戦略技術輸入額の日本比重は2018年34.4%から2022年24.9%に9.5%pに減少した。

このように政府の積極的な支援と大手企業と中小企業間の協力で達成した半導体素材・部品・装備の国産化に対する熱意が低くなる場合、ややもすると国内半導体全体の成長が再び脅かされかねないという指摘だ。

日本の場合、ウェハーに半導体回路を印刷するフォトマスクや露光装備技術力が依然として優秀な状況だ。サプライチェーンの安定に対する重要性に気づいただけに、経済安保のために積極的な支援が続くべきだというのが業界の衆論だ。

キム・ヤンペン専門研究員は「国内企業が国産化できなかった部分に対する関心を継続し、全体産業発展と競争力確保のために政策的支援が持続必要だ」と述べた。

著者:コリアエレクトロニクス編集部