電気自動車(EV)の価格競争が活発になっている中、韓国国内バッテリー業界が主力製品である三元系(NCM・NCA)バッテリーから「コストパフォーマンスバッテリー」と呼ばれるリチウムリン酸鉄(LFP)バッテリーに目を向けている。韓国メディア「ブリッジ経済」が報じた。(写真:ゲッティイメージズ)
原文記事:https://www.viva100.com/main/view.php?key=20230308010002484

8日、業界によると、最大の電気自動車メーカーであるテスラが最近、米国市場で高価ラインナップであるモデルSとモデルXの販売価格をそれぞれ5.3%、9.1%ずつ引き下げた。テスラの電気自動車値下げ決定は価格競争力確保のためのもので、今年1月のモデル3とモデルYの値下げに続き2回目だ。

テスラが電気自動車の値下げを決定できたのは、テスラ全体の車両の半分以上にLFPバッテリーを搭載しているからだ。LFPバッテリーは、NCMバッテリーに比べて単位容量当たりの価格が安い。LFPバッテリーに使われるリチウムとリン酸、鉄などの原材料がNCMバッテリーのニッケル、コバルトに比べて安いためだ。

完成車メーカーは電気自動車価格の半分を占めるバッテリーを安く供給してもらえれば、電気自動車価格測定においてライバルメーカーより優位を占めることができる。そのため、相当数のグローバル完成車メーカーが低価格型電気自動車の開発からLFPバッテリーの搭載を念頭に置いている。すでにテスラをはじめ、フォードやフォルクスワーゲンなどの完成車メーカーは、自社の電気自動車にLFPバッテリーを採用している。

また、LFPバッテリーの飛躍的な性能向上も完成車業界の注目を集めている。これまで完成車メーカー各社はエネルギー密度が高く、走行距離が長く体積が小さいNCMバッテリーを好んだ。しかし、最近の技術開発でLFPバッテリーのエネルギー密度の改善と急速充電まで可能なほど補完された。

LFPバッテリーは、中国のCATLやBYDなどのバッテリーメーカーが90%以上の市場シェアを記録している。しかし、米国のIRA(インフレ削減法)や欧州の中核原材料法(CRMA)など、中国を牽制する法案で、中国製バッテリーを使用する場合、主要自動市場で電気自動車補助金を受けることができなくなった。これを受け、完成車メーカー各社は、中国のバッテリーメーカーに代わるLFPバッテリー供給先が必要な状況だ。

このようにLFPバッテリーに対する世界的な需要と関心が高まり、国内バッテリー業界でもLFPバッテリー製品を発売したり開発を準備している。まず、SKオンは開発を終えたLFPバッテリーを今月中旬に開かれる国内バッテリー展示会インターバッテリーで公開する。LFPバッテリー試作品を公開するのは、国内バッテリー3社の中でSKオンが初めてだ。

LGエナジーソリューションは、LFPバッテリーをESS(エネルギー貯蔵装置)製品に採用している。中国南京の生産ラインをLFPバッテリーに転換し、ESS製品を発売する予定だ。来年は米ミシガン工場に新規LFPバッテリーラインを構築することにした。

バッテリー業界の関係者は、「国内バッテリーメーカーは全て顧客の要請があれば、良質のLFPバッテリーを生産できる技術力を備えている」とし、「最近、完成車業界の電気自動車価格競争でLPFバッテリーへの関心が高まっており、国内バッテリーメーカーが状況を綿密に調べていると聞いている」と伝えた。

著者:コリアエレクトロニクス編集部