2-クロロエタノールが再び基準値超え

 イタリア保健省は、辛ラーメンキムチから基準値を越える2-クロロエタノールが検出されたため、製造した農心に対して回収(リコール)を命じたと2月28日、イタリアのメディアが報じた。

 基準値を超える2-クロロエタノールが検出されたのは、辛ラーメンキムチで、農心が製造し、オランダの会社が販売したものだ。

 農心は、昨年8月にもドイツで販売したインスタントラーメン海鮮湯麺から欧州連合(EU)基準の148倍を超える発がん性物質であるエチレンオキシドや2-クロロエタノールなどが検出されたとしてリコールとなっていた。

 また、昨年末には、オットギがフランスで販売していたジンラーメン辛味から今回の農心と同じ2-クロロエタノールが基準値の56倍検出されたとしてリコールを受けたことも記憶に新しい。

昨年の農心リコールで韓国は独自基準を設ける

 EUは、今年2月18日から韓国企業に対して、発がん性物質エチレンオキシドの含有量を証明する書類を添付することを義務付けた。

 しかし、韓国の即席麺メーカー各社は、昨年末にこの証明書を添付せずに輸出したため、大量廃棄の危機となった。「韓国政府から各社への告知が遅れたのでは?」との疑惑を韓国メディアは報じている。

 その後、実際に大量廃棄されたかは報じられていない。当初、1月6日から新ルール適応予定だったが、2月18日からに適応延期となったようだ。

 辛ラーメンキムチは、日本へも輸出されている。気になって農心ジャパンのサイトを覗くも、6日時点では説明は確認できない。

 農心ジャパンによると、2-クロロエタノールの基準は、EUが世界1厳しく、韓国や日本、もちろん、中国にも基準はない。また、2-クロロエタノールは、微量検出されても人体には影響はないと発表している。

 昨年8月のドイツでのリコール騒動を受けて韓国は、2-クロロエタノールの基準を独自に設定し、30ミリ・グラム(キロ・グラム以下)とした。

新基準後の製造でもリコール?

 今回のイタリアでのリコール対象商品は、パッチ番号TE21、賞味期限2022年5月19日の辛ラーメンキムチとだけ伝えられていて、具体的にいつ頃の製造で販売されたものかは、はっきりしない。

 日本では、袋麺の賞味期限は8か月間となっているので、昨年秋以降に製造されたものかもしれない。

 もし、韓国が2-クロロエタノールの基準を設けた後に生産された即席麺だとしたら、韓国基準だとEU域内では、どこでもリコール対象になってしまうのではないかと容易に想像がつくのであるが、大丈夫なのか。

 今回のイタリアでのリコール発覚後の4日、韓国のテレビ局SBS系列のメディアが、「農心に何が起こったのか…ヨーロッパで今度は『辛ラーメンキムチ』回収」という記事を出した。

 記者との問答形式で書かれた記事では、
・リコールの原因。
・問題の辛ラーメンキムチは、輸出専用商品で韓国国内では販売されていない。
・EUの2-クロロエタノールの基準は非常に厳しい。
・韓国では、有害物質とはみなされておらず、昨年、問題となった農心の製品も韓国で改めて検査した結果、人体には無害であると発表している。

 と、韓国都合での言い訳を並べているようにも読み取れる。

辛ラーメン1ブランドに大きく依存する農心

 さらに、「今後、Kラーメンはヨーロッパへ輸出できるのか?」という問いに対して、「問題ない。現在、韓国メーカー各社は、先月18日からのEUの新基準に合わせた製品の生産に入っている」と記者が答えて終わる。

 本当に問題ないのか。特にエビデンスは示されていないようだ。

 そもそも、EUが2月から韓国企業へ義務付けたのは、発がん性物質エチレンオキシドの含有量を証明する書類の添付であって、今回問題となった2-クロロエタノールについてではないはず。

 では、韓国が独自に設けたという2-クロロエタノールの基準はいつから始まっているのか。すでに昨年秋から新基準の元で製造されていると推測されるのであるが…。

 記事では、この部分には触れていない。実にわかりやすくミスリードさせているように感じる。

 それにしても今回、農心にとって痛いのは、看板ブランドである辛ラーメンシリーズだったことだ。昨年8月の海鮮湯麺ようにサブブランドではない看板ブランドである点はイメージダウンが避けられない。

 農心は、韓国内外含め全体の売上に占める辛ラーメン1ブランドへの依存が非常に大きい。つまり、辛ラーメンの信頼が崩れると農心全体の売上も崩壊することになる。