20年ぶりの国際観艦式に12か国参加
韓国海軍も補給艦「昭陽(ソヤン)」を派遣し、岸田文雄首相が観閲に立つ護衛艦「いずも」に向かって、韓国の将兵もみな挙手の敬礼を行った。
観艦式で主催国の代表が乗った指揮艦に敬礼を行うのは、国際的な慣例で、むしろそれを行わないほうが「非礼」として問題になるだろう。
ところが、韓国では今、これが「旭日旗」に対して敬礼を行った行為だとされ、「恥辱的」だとして、国会の場でも論戦の材料となっている。
国際観艦式翌日の7日、韓国国会の特別委員会で、野党「共に民主党」の議員は、旭日旗を描いたパネルを手にして「旭日旗、つまり戦犯旗に敬礼したのではないのか」と国防長官に詰め寄り、パネルを粉々に折り曲げて壊すパフォーマンスまで演じて見せた。
日韓の防衛協力は破綻状態
2018年、韓国済州島で行われた国際観艦式に海上自衛隊を招待した際に、韓国側は、旭日旗を掲げないで参加するよう要求してきたため、日本は参加を拒否した。
翌年2019年の日本の観艦式は台風の接近で開催は見送られたものの、韓国は初めから招待されなかった。
その前年の12月に、韓国駆逐艦による海上自衛隊哨戒機に対するレーダー照射事件があり、日韓の防衛交流は完全に中断していたからだ。
今回、国際観艦式に韓国を招待したことは、レーダー照射事件や徴用工裁判など未解決の問題がある中で、日本にとってもリスクが大きかった反面、韓国側にも旭日旗など過去の歴史問題と絡んで、反対する声が大きかった。
野党を中心に日本と安保協力を行うことは、朝鮮半島に再び旭日旗を翻させることにつながるという極端な意見も多く見られた。
旭日旗が問題になったのは2011年以降のこと
また、韓国が1998年と2008年に行った国際観艦式には、海上自衛隊は旭日旗を掲げて参加しているし、日本が2002年に行った国際観艦式と2015年行った観艦式には韓国海軍も参加している。
つまり、当時は、旭日旗のことなど何の問題にもせず、互いに交流していたのだ。
しかし、ここわずか10年の間に、急に“旭日旗は戦犯旗”などと不当なことを言い始め、純粋な国防戦略など軍事に関わる問題とはまったく関係ない些末(さまつ)な問題で、防衛協力体制を台無しにしたのである。
韓国は旭日旗を敵として戦ったことはない
1919年に作られた大韓民国臨時政府のもとに「光復軍」という軍組織が作られたことはあるが、訓練だけで、実戦に投入される前に日本は敗戦している。
当時の韓国人は、1938年から始まった陸軍特別志願兵制度に従って入隊したり、捕虜収容所の監視を行う軍属などとして雇われたりして、実際には、旭日旗の下で日本人と一緒に戦い、働いた人のほうがはるかに多かったのである。
かつて敵として戦った英国は旭日旗に礼節を示してくれる
今年6月、海上自衛隊の練習艦隊「かしま」と「しまかぜ」が、世界1周121日間の遠洋航海の途中、英国を訪れ、英国海軍との共同訓練を行った。
そのとき英国海軍(ロイヤルネイビー)は公式ツイッターに、“Konnichiwa, Kyokujitsu-ki” 「こんにちは旭日旗」で始まる歓迎のコメントを投稿してくれた。
英国海軍は、旭日旗を海上自衛隊そのものを指す言葉として使ってくれたのである。
英国と日本は、第2次世界大戦で海戦を含む激しい戦争を戦った相手である。
かつて敵同士として戦った国が、旭日旗を丁重に礼節を持って扱ってくれるのに対し、敵として戦ったこともない韓国が、異常なほどの執着心で旭日旗を目の敵にしている。
単に政権批判の道具に堕した旭日旗問題
にも関わらず、韓国の野党は、旭日旗を掲げる自衛隊とは一緒に訓練をやらないと言い、自衛隊の船や飛行機は韓国の港や飛行場に絶対入れない、と言い続けるのだろうか。
旭日旗の問題は、たった1人の大学関係者と一部のメディアの虚偽と妄説から始まり、今や政権批判のための道具に過ぎないという現実に韓国国民も早く気づくべきかもしれない。
小須田 秀幸(こすだ ひでゆき)