今月20日、あべのハルカス美術館(あべのハルカス16階)にて『コレクター福富太郎の眼』が開幕した。本展は、昭和から平成の激動の時代を生きた「福富太郎」という傑出した人物像に焦点をあてながら、約80点の作品をとおして、彼の美術に対する審美眼や愛した美術品に今でも息づく魅力を紹介する展覧会である。


<福富太郎とは>
本名、中村勇志智(なかむらゆうしち)。昭和時代を代表する実業家のひとり。32歳でキャバレー〈銀座ハリウッド〉をオープンし、全国に展開。経営面から人間関係まで多方面の話題に明るく、軽妙でユーモア溢れる語り口が人気を博し、テレビやラジオにも多数出演する著名人であった。一方で、自身の蒐集作品を題材に1992年から『芸術新潮』にて連載をスタート。さまざまな資料を基に執筆された内容は単行本化され、幅広い世代へ美術作品の魅力や愉しみ方を紹介する活動にも大きな力を注いだ。


【展覧会構成】
I コレクションのはじまり - 鏑木清方との出逢い
父親が大切にしていた清方の作品が空襲で焼失してしまった体験が原点となり、福富は清方作品を本格的に蒐集するようになる。作品を携えて清方邸に訪れるなど、清方本人とも交流があった。そして福富は清方研究には欠かせない、充実した作品を所有するコレクターとして注目されるようになったのである。第1章では、清方が作品との再会を喜んだと言われる《薄雪》や、発表当時も話題となった異色作《妖魚》などを含む13点から、福富コレクションのはじまりを紹介する。

II 女性像へのまなざし
東西の作家が描く美人画の競演
福富コレクションの核とも言える近代日本画の女性像。福富は画家の有名無名に関係なく、自身の眼で見て気に入った作品を蒐集し、さらには、関連する資料や情報を収集し対象への理解を深めてコレクションの幅を拡げていった。福富が魅せられた女性たちは、美しいだけではなくどこか憂いを含み、存在感を放つ女性像が多いのである。

(1)東の作家




(2)西の作家



III 時代を映す絵画
日本画だけじゃない、知られざる近代洋画コレクション!
近代洋画の父としてしられる高橋由一や山本芳翠をはじめ、岡田三郎助や岸田劉生といった美術史上にあがる著名画家の作品を手にする一方で、洋画においても画家の有名無名を問わず、自分が本当に惚れ込んだ作品を蒐集するという姿勢は変わらなかった。また、幼少期に第二次世界大戦を経験した福富は、戦争画やその周辺の作品も積極的に蒐集している。黎明期の洋画から戦争画に至るまで、知られざる近代洋画コレクションを30名の画家の作品をとおして紹介する。


(1)黎明期の洋画


(2)江戸から東京へ


(3)戦争画の周辺



※作品はすべて福富太郎コレクション資料室蔵

「私は、福富太郎という人は、間違いなく戦後最高のコレクターだと思っています。」
—本展監修者・山下裕二(美術史家・明治学院大学教授)

本展は、作品を追い求めた福富太郎の眼に焦点をあて、その類いまれなるコレクションの全貌を紹介する初めての機会となります。鏑木清方や北野恒富に代表される東西画家の美人画はもとより、時代を映す黎明期の洋画から戦争画に至るまで、約80点の作品をとおして今も息づくコレクションの魅力と、作品とともに歩んだコレクター人生を振り返ります。

【解説付貸切鑑賞会も開催!】
12月11日(土)には閉館後の美術館でゆったりと作品を鑑賞できる人数限定の “解説付貸切鑑賞会”も開催される(担当学芸員の解説付)。※“解説付貸切鑑賞会”は定員に達し次第、チケットの販売を終了いたします。

【開催概要】
■会期:2021年11月20日(土)〜2022年1月16日(日)
■開館時間:[月土日祝]10:00〜18:00[火〜金]10:00〜20:00
※入館は閉館の30分前まで
■休館日:11月29日(月)、12月31日(金)、1月1日(土)
■会場:あべのハルカス美術館
※新型コロナウイルスの感染状況ならびに予防対策のため、開催期間や内容が変更となる場合がございます。
詳細< https://www.ktv.jp/event/fukutomi/ >