この夏、私たちをキュンキュンさせてくれたドラマ『彼女はキレイだった』が最終回を迎えた。

「愛と一緒なら、晴れでも雨でも楽しい」と告げる宗介(中島健人)と、「これからはずっと一緒だね」と話す愛(小芝風花)の生放送シーンもあり、最後の最後までファンを楽しませてくれた“かのきれ”。

放送直後には「来週から見られないのさみしい…」「最高のドラマだった!」「もうすでに、かのきれロス…」との声がSNS上で多く見られた。

そんな最終話は、樋口(赤楚衛二)が、謎の作家・楠瀬凛であることを宗介に伝えるシーンからスタート。モスト編集部を救いたい樋口は、自らの生い立ちや小説への思いをつづったインタビュー原稿を宗介に手渡す。

「真実が明るみになれば、樋口の人生を壊してしまうかもしれない」と宗介は掲載を見送る決断をするのだが、樋口の立ち回りによって作家・楠瀬凛を特集した「THE MOST」が発売される。

これにより、MOST編集部の存続が決定したものの、そこに樋口の姿はなかった。

そんな樋口が素性を明かしたのは「生きているうちに大切なものが増えてきて、本当の自分を晒すことで次のステージに向かえる気がしている」からとのこと。愛、そして仲間に向けた、ラブレターのような話だ。

でも、樋口はそれで本当に幸せなのだろうか。最後まで人の幸せを祈り、自分の幸せの優先順位を下げているのではないだろうか…と樋口のことを心配してしまった。

だが、その心配は、道端で愛が樋口と再会したシーンを見て、ほんの少しだけ晴れた。

涙する愛を、片手で引き寄せて「ごめんな。楽しかったよ。ジャクソンに会えてよかった」と言い、3つのことを伝える樋口。悲しさや寂しさ感情を押し殺しているような表情はなく、明るく前向きな顔をしていたのだ。

樋口が、愛と結ばれることは最後までなかった。

でも、私たちが数カ月後、数年後、樋口先輩のことを思い返す時に、“恋が成就しなかった悲しい人”と認識することは、きっとないだろう。恋愛の結末以上に、樋口先輩は私たちの心に前向きな気持ちと、最高の胸キュン、そして癒しを与えてくれたのだから。

一方の愛と宗介はというと、前話でのラブラブ無双っぷりから、少し落ち着いて、お互いの将来を真剣に考えるようになっていたが、宗介のアメリカ行きが引き金となり、2人はケンカをしてしまう。

きっと、どちらも悪気はなかった。お互いがお互いを好きで尊重したいと思っているがゆえのケンカだった。だからこそ、愛が素性を隠していた時と同じようにすれ違ってしまうのではないか…という不安もよぎった。

しかし、今回は違った。愛は梨沙(佐久間由衣)の言葉や、絵本作家・夏川ちかげ(日髙のり子)の言葉に後押しされて、宗介にプロポーズ。

その上で「自分からこれをやりたいということに初めて出会えたの」と告げ、数年後、2人は無事結婚するというハッピーエンドが待っていたのだ。

最終話で彼女が言った「仕事ができるだけ、ありがたいので!」というセリフは、彼女がMOST編集部に配属になった当初にも言っていた言葉だ。

当時は、なんて謙虚なんだろうと思っていたが、今振り返ると、当時の愛にはやりたいことが本当になかったのかもしれないと推測する。

仕事を愛するMOST編集部のメンバーとともに仕事をすることで、愛は少しずつ変化し、そして劇的なイメチェンをした。

あのシーンで彼女が「キレイになった」と周りに言われたのは見た目だけではなくて、自分の意思で「MOST編集部に戻りたい」「頑張りたい」と考えた内面の表れだったのだろう。きっと仕事に対する情熱やこだわりがないままだったら、あそこまで変わることはなかったはずだ。

「キレイになりたいって思ったの。人ってやりたいことをしている時、すごくキレイに見える」愛が宗介に伝えた言葉は、全10話を通して愛が私たちに教えてくれたことだった。

“キレイ”という言葉は難しい。その答えは1つではないし、私たちは時々「そう簡単にキレイになんてなれない」と卑屈になってしまう。

でも「なりたい自分でいること」「人生を楽しむこと」、この2つがあれば私たちは自分が気づかない間に“キレイ”になれているのかもしれない。

宗介と離れて暮らす間、自分の“なりたい”に向かってまっすぐ歩み、充実した毎日を送っていた愛。そんな愛に対して、ニューヨーク赴任を終えた宗介が「愛、キレイになったね」と告げたのには、そんなメッセージが込められているように感じた。


文:於ありさ

 

ドラマ『彼女はキレイだった』

■最終話を見逃した方、もう一度見たい方は、こちらから

カンテレドーガ https://bit.ly/3j5D8ze

TVer https://bit.ly/2SWbKJr