日本人拉致問題の進展が期待された12日の米朝首脳会談。トランプ米大統領は「問題を提起した」と語ったが、共同声明に「拉致」は盛り込まれなかった。県内の拉致被害者家族らは「もっと踏み込んでほしかった」と失望の声を上げながらも、今後の日朝交渉に望みを託した。

 「拉致問題の扱いはあまりにも簡潔。また解決が遠のいてしまうのではないか」。熊本市出身の拉致被害者松木薫さん=失踪当時(26)=の姉齊藤文代さん(72)=菊陽町=は県庁で記者会見し、うなだれた。

 13日は松木さんの65回目の誕生日。被害者も家族も高齢化が進む。「残された時間は少ない。今回の会談で帰国が早まってほしい思っていたのだが…」と涙を浮かべた。

 米朝会談を受け、安倍晋三首相は日朝交渉に意欲を示す。齊藤さんは「他国に頼ってばかりでは解決できないと改めて感じた。早急に日朝のトップ会談を実現させてほしい」と訴えた。

 一方、鹿児島県の吹上浜で拉致された増元るみ子さん=同(24)=の姉平野フミ子さん(68)は、八代市の自宅でトランプ大統領の記者会見を見守った。「踏み込んだ発言は聞かれなかった」と落胆。「停滞状態にあった拉致問題が前進する契機だと思いたい。今後の日朝交渉に望みを託す」と自分に言い聞かせるように話した。(堀江利雅)