歴史的建造物の保護・保存に取り組むワールド・モニュメント財団(本部・米ニューヨーク)は3日、熊本地震で昔ながらの建物が多数被災した熊本市中央区の新町・古町地区で、明治・大正期の5軒の復旧を支援すると発表した。世界に情報を発信し、幅広い支援を呼び掛ける。

 財団は各国に拠点を置き、日本では京都の町家や、東日本大震災の被災建造物などの修復支援で知られる。九州での事例は初。旧城下町のたたずまいを残す街並みの保存と継承が、熊本全体の復興に寄与すると判断した。地区では建造物が相次いで解体されている。

 支援するのは店舗や住宅で、「塩胡椒」「N・H・ピュアリィ」「西村邸」「清永本店」「PSオランジュリ」の5軒。一帯の景観を特徴付ける木造建築やモダニズム建築で、文化財保護法の指定を受けていない。

 財団はNPO法人熊本まちなみトラスト(熊本市)と連携。復旧費の一部を助成し、2019年3月完了を目指す。ウェブサイトやSNSなどで復旧状況も発信する。トラストは復旧の記録を制作するほか、復旧費の寄付も募る。

 PSオランジュリで会見した財団の稲垣光彦・日本代表(68)は「歴史的な街並みの復旧と保存には啓発が重要。支援の輪を広げたい」。トラストの伊藤重剛理事長(65)は「熊本が世界から忘れられていないと確信した。多くの建物の保存につなげたい」と話した。(中原功一朗)