熊本地震で被災し、石垣の角で飯田丸五階櫓[やぐら]を支えていた「1本石垣」の保護工事が10日に終了。周りを板で囲まれ、外から見られなくなった。これで石垣倒壊の恐れはほぼなくなり、上部の櫓を撤去した後、来年の夏ごろ安全に解体される。

 熊本城総合事務所と工事を請け負う大林組九州支店熊本城工事事務所によると、細長く立った石垣の周りを木の板で煙突のように囲み、板と石垣の隙間に直径6ミリの樹脂を詰めた。石垣の表面は傷つけないよう麻布で覆った。

 ことし2月に公開された同支店の技術提案書では、保護工事の内容は黒塗りにされていた。総合事務所は「企業独自の技術であり、まだ確定した方法ではないため」と説明していた。

 「この方法は1本石垣のために生み出したもの。そもそもこんな現場は考えられない」と大林組の飯田丸五階櫓の工事責任者、青田晴[はれる]さん。櫓はいま地面から組み上げた構台で支えており、応急的に上から抱えるように支えてきた緑の構台は今後取り除く。その際、1本石垣にかかっていた負荷が減って倒壊する恐れがある。保護工事は石垣を垂直に保っておくための補強策だ。

 青田さんは「建物と石垣の接着部分がしっかりしているから角の石垣が残った」という現場の大工の言葉が胸に残っているという。「前にやってきた人の仕事がちゃんとしているから、石垣がこれ以上壊れなかったと思った」。だからこそ「1本石垣の解体まで責任を持ってやり遂げたい」と語る。

 熊本城総合事務所の城戸秀一さん(43)は保護の具体的な工法を聞いて「なるほど」と思ったという。「1本石垣の周りは狭く、作業が難しい。制約がある中で工夫されている」と話している。(飛松佐和子)