12日、熊本県上天草市龍ケ岳町樋島で遊泳中の男性が行方不明になった水難事故は、岸から沖に流れる「離岸流」に巻き込まれた可能性があるという。福岡県古賀市で11日、父子ら4人が死亡した事故も離岸流の可能性が指摘されており、熊本海上保安部は海水浴客らに注意を促している。

 同保安部によると、離岸流は強風などによって岸に打ち寄せた波が沖に戻るときに発生。流速は速いときで毎秒2メートル。競泳自由形の五輪金メダリストに匹敵するという。

 第十管区海上保安本部のまとめでは、管轄する熊本、宮崎、鹿児島の3県で2012〜16年の5年間に、離岸流が原因となった水難事故が45件発生。離岸流は外洋に面した場所や遠浅で海岸線が長い場所、波が岸に対して直角に入る場所で発生しやすいという。

 離岸流に巻き込まれた場合の対処方法として同保安部がまず挙げるのが、慌てて流れに逆らって泳ぎださないこと。岸と平行に泳いで幅10〜30メートルの離岸流から抜け出した後、岸に向かって泳ぐよう呼び掛けている。

 上天草市の事故は、岸から20〜30メートル沖合で遊泳中の男性2人が沖に流され、同市の男性会社員(43)が行方不明になった。一方、一緒に泳いでいた知人男性は同保安部が呼び掛ける対処方法通り、流れに逆らわず岸と平行に泳いだほか、立ち泳ぎで休息。約30分かけて自力で岸に泳ぎ着き、難を逃れた。

 現場の外平[ほかびら]海浜自然観察公園には、潮の流れに注意を促す看板はあったものの、監視員の配置や遊泳区域を示すブイの設置などはなかった。海水浴シーズンはしばらく続くため、同保安部は「監視員が配置してあるなどきちんと整備された場所で安心して海水浴を楽しんでほしい」と話している。(中島忠道、中島崇博)