17日に県内全域を暴風域に巻き込み、大雨を降らせた台風18号。熊本地震で大きな被害が出た被災地や、果実の収穫を間近にした農家は前日から不安な一夜を過ごしたが、目立った被害もなく、胸をなで下ろした。

 地震で各地の地盤が緩んだ南阿蘇村は土砂災害の危険があるとして16日夕、村全域に避難勧告を発令し、自主避難所3カ所を開設。白水保健センターで一夜を過ごした女性(85)は「地震も怖かったが、最近の気象は何が起きるか分からない。早く避難するしかない」とテレビの台風情報に見入った。

 益城町が設けた避難所5カ所には一時21世帯41人が身を寄せた。16日に広安小へ避難した男性(75)は「自宅の周囲は更地が増え、風が吹き付ける。宅地は沈下し、台風のたびに近くの川が氾濫しないか不安になる。今回は被害がなくて良かった」と疲れた様子。

 台風の進路に近かった県南は大雨と強風に一時見舞われたが、収穫期を迎えたナシの産地・球磨村では被害を逃れた。強風による落果などを心配した同村三ケ浦の毎床直さん(61)は「傷ついた実もほとんどなかった」とほっとしていた。

 一方、JRや航空便など公共交通は乱れが生じ、利用客や行楽シーズンの3連休に期待を寄せた観光業者からはため息も出た。鹿児島へ墓参りに向かっていた松江市の会社員、宇田川真毅さん(33)は熊本駅で足止めに。「行けるところまで行こうと思って来た。今日中に着きたい」と運転再開を待ち望んだ。

 熊本空港の土産物店で県産茶や果物を販売する前川季章さん(50)は、航空便の欠航で閑散としたフロアを見て肩を落とした。「3連休の中日なのに売り上げがない。天気には勝てないが…」と台風が恨めしそうだった。

 阿蘇山上広場の「阿蘇山ロープウェー」は安全に配慮して休業した。運営する九州産交ツーリズムは、中岳の噴火に伴って運休中のロープウエーを動かす巨大滑車などの見学ツアーを7月末に開始。16日午後と17日は合わせて約20人の予約があったが、中止した。後藤一昭所長(62)は「お客さんに申し訳なかった。18日は天候が回復しそう。大勢の方に来てほしい」と3連休最終日に期待を寄せた。(台風取材班)