世の中にはたくさんの“片づけられない人”がいます。
私は職業柄、今まで何百人という“片づけられない人々”に会ってきました。そこで気づいたのは、彼女、もしくは彼らには、共通した性格パターンがいくつかあるということ。そして、それぞれのタイプの人を“片づけられる人”に導く、非常に効果的な魔法の言葉があるんです。
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まず、片づけられない人の筆頭に挙げたいのが、“思い込みが強い人”。「こうすべき」「こうしなきゃ」という気持ちが強すぎて、人からの意見がなかなか入ってこないため、このタイプは変わるのが難しいんです。
しかも完璧主義者が多いから、片づけるなら自分が納得のいく状態までとことんやらないと気が済まない。でも、なかなかそこまで到達できないから、「じゃあやらなくていいや」と諦めてしまうんです。
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でも、「どうしてそこまでやらなきゃいけないと思うの?」と問いかけると、実は明確に答えられない場合が多い。例えば洋服を買い過ぎて収拾がつかなくなったある人に「なぜこんなに必要なの?」と聞いたら、「送り迎えは紺のワンピースを着るのが、うちの幼稚園では一般的。しかも毎回同じものは着ていけないからこれだけの枚数になってしまって…」と。結局は、自分の明確な信念ではなく人の目を気にした結果で、こうでなきゃいけないという考え方に、とらわれてしまっているんです。
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こういう人は、「そこまでやらなくていいんだ」と思えるようになると、とても気持ちがラクになる。吹っ切れて、少しずつ片づけができるようになります。面倒ならば、洗濯物はたたまなくたっていいんです!

例えば、私のお客様の中にこんな方がいました。

彼女は超がつくほど忙しい女医さんだったのですが、洗濯物をたたむ時間が取れず、毎日部屋が洗い終わった服でいっぱい。だから、私はこう言ったんです。「だったら、たたまないでいいじゃない」と。まずは全部を(トル)ハンガーを使った掛け収納にすることを提案しました。でも、干す暇もたたむ暇もないとのこと。そこで、乾燥機を買って、洗濯物を乾かしたら入れっぱなしにして、そこから衣類を出して着たら?とアドバイスしたんです。

彼女は普段は白衣を着ているし、通勤は車だし、日常でオシャレするシーンがほとんどない。だから、そこまで服の扱いに気を遣わなくていいじゃない、と。そう言われて、彼女はすっごく気持ちがラクになったみたいで、すぐにそれを実行してくれたんですね。その分、スキンケアやメイクにちゃんと時間がかけられるようになったし、家に帰ってから「あー洗濯しなくちゃ」という憂鬱な気持ちがなくなったと、彼女はとても喜んでくれました。
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何を隠そう、私もこのタイプでした。物事を判断するときはいつも0か100。90点を取っても満足できないから、少し片づけてもこれっぽっちしか進まないなら、やっても意味ないや!と思っていたんです。
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でも、そのときの私を含め、思い込みが強い皆さんにはこう言いたい。
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「そこまでやらなくてもじゅうぶんだよ」と。

あなたが思うほど周囲はあなたのことを見ていないし、そんなことまで求められていない。理想を描いても、そこに少しずつ近づく行動を起こさなければ、永遠にそこには到達できません。なぜそこまで「〜ねばならない」と思うのか、まずは自分と向き合い、じっくりと考えてみて。そこで出てきた答えが、案外大した理由じゃなかったりするのなら、それに惑わされずにもう少し気軽に片づけに取りかかれるはず! まずはその頑固な心を解きほぐして、小さなことから始めて、一歩でも半歩でも進んだ自分を褒めてみましょう。
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吉川永里子
(収納スタイリスト(R)/整理収納アドバイザー1級認定講師/スタイリングカウンセラー)
「片づけはストレスフリーに暮らす近道」をモットーに、女性目線・ワーキングマザー目線で整理収納やライフスタイル提案を行う。メディアでのアドバイス以外に、個人のお客様のお宅へも積極的に伺い、レッスンやセミナーなどこれまでに2000人以上に片づけをレクチャー。『30日間片づけプログラム』『子どもがいてもキレイがつづく!ラクするための片づけルール』など著書多数。プライベートでは夫と2人の息子と52平米の賃貸マンションで暮らす。
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取材・文/栗田瑞穂