原浩之(はら ひろゆき)さん、直子さん夫妻にインタビュー

終始ニコニコと、あたたかくお話ししていたのが印象的です。

原浩之(はら ひろゆき)さんと奥様

──開業のきっかけは?

原浩之(敬称略)──

このカフェの建物は、倉敷天文台を守ってくださっていた、本田實先生のお住まいでした。

本田先生とその奥様が亡くなられ、10年ほど空き家になっており、なんとかしないといけないなと思いながらもしばらく月日が流れていました。

倉敷天文台は4年後の2026年に100周年を迎えます。

100周年に向けて何かいろいろ出来たらいいなと、そのアイデアの1つがカフェでした。

またここにあるたくさんの本は、ダンボールに詰められて全然日の目を見なかった本なんです。

この天文台に関わってきた人たちが集めた、さまざまな本を皆さんに見ていただきたいという思いもあります。

そしてこの倉敷天文台をたくさんの人に知ってもらいたいです。

また、県外から倉敷に拠点を移した家内が人と出会えるきっかけとなる場所、お菓子作りのスキルを披露できる場所になればとも考えています。

──オープンして約半年、心境の変化はありましたか?

原直子(敬称略)──

カフェの厨房でいざケーキ作りに取りかかると、道具がなかったり、オーブンのクセも違ったりと悪戦苦闘しました。

また、オープン当初はどんなケーキをどれくらい焼いたらいいのか、お客様が喜んでくださるものに仕上がるのかを考えて不安な毎日でした。

でも今は、主人の知り合いのパティシェのかた、地元で野菜や果物を作っておられるかたがたに相談に乗っていただけるようになり、アドバイスに助けられています。

実際お客様に召し上がっていただくと、”美味しかったです!”とお声をかけていただくことも多いのでとてもうれしいです。

あとは、岡山の地元で取れる食材の多さには感動しています。

岡山ならではの物を使って調理し、発信もしていきたいなと思っています。

この夏は、お客様から桃農家さんをご紹介していただいたのですが、東京に送ると到着までに桃が傷んでしまうので岡山でしか食べられないという希少価値のある桃があることも知りました。

岡山は作りたい意欲をかき立てられる土地だと実感してきています。

桃のデザート

──他の店と違うところは?

原浩之──

ここでは音楽を流していないんです。

たとえば秋になると虫の音、そのほかには外の車の音やエアコンの音、それがBGMなんです。

音楽を流すとどうしてもおしゃべりの声が大きくなるのでね、本を読む人にも気遣ってもらいたいという気持ちもあります。

──お店の名前の由来は?

原浩之──

本田先生は詩を書くのが好きで、いろいろな詩を残しています。

その詩の一節から名前をつけました

本田氏の誌

──今後どのようなお店にしていきたいですか?

原浩之──

何度もリピートしてもらえるようなカフェにしたいです。

1人の時間をゆっくり過ごしたり、お友達と来てもらったり。

また人と人が出会う場、天文台に出会う場になればいいですね。

今後は夜に星を観望するときにお茶やお酒を飲んでもらったりと、夜の部も考えています。

そこからお昼のランチにもつなげていきたいです。

おわりに

人との縁を大切にする仲の良いご夫婦で運営している天文台カフェは、他にはない魅力がたくさん詰まっています。

岡山の旬の食材を使った手作りのお菓子に心が満たされることでしょう。

たくさんの本とともに、星や月を感じながら過ごす特別な時間をぜひ味わってみてください。

著者:宇野月子