倉敷市早高にいちご狩りができるスポットがあります。
そのスポットの名は「安原観光いちご園」。
安原観光いちご園では、高設栽培で育てられた旬のいちごを収穫し、いちごの食べ放題を体験できます。
高設栽培のため、しゃがまなくても楽な姿勢でいちご狩りを楽しめます。
完熟したいちごの甘味をたっぷりと味わってみてください。
この記事では「安原観光いちご園」の魅力を紹介していきます。
安原観光いちご園とは?

安原観光いちご園は、瀬戸中央自動車道早島インターから車で約10分の場所にあります。
今から27年前の1996年に、「いちごを作りたい」という想いから開業されたそうです。
また当時、いちご狩りができる場所があまりなかったというのも開業のきっかけだったそうです。
いちご狩りをすることにより、完熟のいちごを味わってほしいという想いが込められています。
ハウスの中には、約15,000本のいちごの苗が並んでいます。
安原観光いちご園では、数あるいちごのなかでも3種類のいちごを育てており、高設栽培という栽培方法で栽培されているのです。
▼3種類のいちごは、以下のとおりです。
- 章姫(あきひめ)
- よつぼし
- スターナイト
高設栽培とは?

高設栽培(こうせつさいばい)とは簡単に表現すると、地面から1mくらいの高いところからいちごを栽培する方法です。
土に直接いちごの苗を植えて栽培する土耕栽培(どこうさいばい)とは違い、養液を与えながら高い位置で栽培します。
高設栽培により、いちご狩りをするときに腰ぐらいの高さでいちごを摘めます。
低いところで摘むより簡単に摘めますね。
また土耕栽培だと、地面に近いところに実ったいちごは土が付いてしまう可能性がありますが、高設栽培ならその心配もありません。
では、安原観光いちご園で育てられている3種類のいちごを紹介します。
章姫

章姫(あきひめ)は、静岡県の萩原章弘(はぎわら あきひろ)氏が育成したいちごです。
1992年に品種登録され、章姫の「章」は育成者の名前に由来しています。
果実が長めの円錐形をしているのが特徴です。
ほとんどのいちごが横幅のある円錐形なのに対して、章姫は縦長の円錐形をしています。
酸味が少なく、甘味をしっかりと感じられるいちごだそうです。
よつぼし

よつぼしは、2017年に品種登録されたいちごです。
三重県、香川県、千葉県、九州沖縄農業研究センターが共同で開発しました。
よつぼしという名前の由来は、「甘味」「酸味」「風味」がよつぼし級に美味しいという意味と、4つの機関が共同で開発した意味が込められています。
形は円錐形で光沢のある鮮やかな赤色をしています。
甘味が強く、酸味も適度にあるそうです。
見た目がきれいなのでデザートにも最適ですね。
スターナイト

スターナイトは、三好アグリテック株式会社が育成したいちごの品種。
「夜空に輝く満天の星のように輝いてほしい」という想いと、「これからのいちご戦国時代を騎士のように切り拓いていってほしい」という想いを込めて命名されたそうです。
形は円錐形で全体的に赤く色付き、艶があります。
また糖度も高く酸味もあるのでバランスが良いそうです。
いちごの直売

安原観光いちご園では、いちご狩りだけでなく「いちごの直売」もしています。
筆者が訪問したときは、まだいちご狩りは始まっていなく、いちごの直売のみしていました。
午前10時から直売しており、電話をすれば取り置きもしてくれるようです。
ただし前日の予約は受け付けていないようで、当日の取り置きのみ可能なので、注意が必要ですね。
いちごは先に花が咲くほど大きくなるようで、画像のいちごは2番花とのことでした。
一粒一粒がとても大きく美味しそうないちごです。
園内の小さなカフェ「イチゴト」

園内には、カフェ「イチゴト」が併設されています。
イチゴトでは、いちご園でとれたいちごを使用したパフェやドリンクなどを販売しています。
いちごを見ていたら食べたくなったので、イチゴト練乳とイチゴラテを注文して早速いただきました。

イチゴト練乳は、食べやすい大きさにカットされたいちごにたっぷりの練乳がかかっています。
いちごと練乳の相性が良いですね。
また、たっぷりのいちごが入っているので、いちご好きのかたにはたまらないと思います。

イチゴラテは、いちごの果肉入りシロップとミルクで作られています。
甘さがしっかりとあり、甘いもの好きなかたにはオススメのドリンクです。
いちご狩りだけでなく、直売やカフェも楽しめる安原観光いちご園。
安原観光いちご園代表の安原雅士(やすはら まさし)さんと、娘さんの安原果菜(やすはら かな)さんにお話を聞いてみました。
安原観光いちご園代表の安原さんへインタビュー

1996年に開業した「安原観光いちご園」。
代表の安原さんに、いちご園やいちごへの想いをお聞きしました。
いちご園の歴史と特徴
──開業の経緯について教えてください。
安原(敬称略)──
今から27年前の1996年に開業しました。
いちごが作りたかったというのが原点です。
また当時、いちご狩りをしているところが少なかったので、いちご狩りがしたいと思っていました。
そしていちご狩りを通して完熟のいちごを多くの人に味わってほしかった。
市場に出回るいちごと完熟のいちごでは、まったく違います。
──いちご園のセールスポイントについて教えてください。

安原──
セールスポイントは高設栽培という栽培方法ですね。
地面から高いところに、いちごがぶらさがってできるので、きれいなんですよね。
従来の方法(土耕栽培)だと人間が歩くときに土が付いてしまうことがありましたが、この方法だとほぼ土がつくことはありません。
いちごの種類と食べ方
──いちご園には何種類のいちごがあるのですか?

安原──
章姫、よつぼし、スターナイトの3種類あります。
章姫は酸味が少なく、やわらかいいちごですね。
よつぼしとスターナイトは甘味も酸味もあって、どちらもバランスの良い品種です。
──岡山県内にはどれくらいのいちごの品種があるのですか?
安原──
岡山県内には10種類ぐらいのいちごの品種があります。
農家同士の交流はありますが、同じ品種をみんなで作ろうというのはあまりありません。
各々、自分が好きな品種を作っていますね。
今、岡山では「おいCベリー」という品種をベースにした、県産いちごの新ブランド「晴苺(はれいちご)」を作っています。
JA全農(全国農業協同組合連合会)としては、「晴苺」を農家に作ってほしいところだとは思いますが、実際のところ収穫の分量が少ない。
そのため農家はそれぞれ好きな品種を作っており、うちではいちご狩り用に食べ比べができる章姫、よつぼし、スターナイトを育てています。
──いちごの美味しい食べ方はありますか?

安原──
いちごは、とんがった先端が一番美味しいんですよ。
ヘタを取ってヘタのついている側から食べてもらうのがオススメです。
そうすることにより、最後まで美味しく味わえます。
いちごへの想いと今後やりたいこと
──いちご園やいちごへの想いを教えてください。

安原──
私の想いはお客様に美味しいいちごを食べてもらいたいという一点だけです。
普通に出荷する分には完熟のいちごを食べることは難しい。
どうしても若取りして市場に出荷されます。
どの果物でもいえることですが、完熟の味がやっぱり美味しい。
それができるのはいちご狩りだと思います。
私にとっていちごとは生きる糧でもあるし、好きなことでもある。
──今後やってみたいことはありますか?

安原──
生ライチです。
沖縄の一部や九州のほうで作っているところがあるそうです。
だいたい、バイキングやビュッフェなどで置いているのは、冷凍のライチなんですよね。
生のライチは冷凍物とは全然違います。
冷凍物よりも瑞々しく、めちゃくちゃ美味しいらしいです。
できるのに3年かかります。
今1年経ちましたので、あと2年くらいかかりますね。
最近はライチがいつできるのかが楽しみです。
娘の安原果菜さんにインタビュー

安原さんの娘さんである安原果菜(やすはら かな)さんにもお話を聞いてみました。
果菜さんは、安原観光いちご園内のカフェ「イチゴト」で働いています。
イチゴトの歴史と特徴
──カフェで使用しているいちごはどの種類ですか?

安原果菜(敬称略)──
今日は章姫とよつぼしを使用しています。
その日にあるいちごのみを使用して作っているんです。
章姫だけであれば、章姫だけで作るし、3種類ともあるようであれば3種類ミックスして作っています。
ですので、日によって使っているいちごが変わることになりますね。
──イチゴトはいつはじめられたのですか?
安原果菜──
2年前の2021年にはじめました。
いちご園は父と母がやっており、カフェは私がやっています。

娘さんの想い
──ご家族で一緒にやるのはどういう感じですか?
安原果菜──
あまり考えたことはありませんが、気を遣わずに仕事ができていると思います。
昔から親の仕事は知っていましたが、一緒に農園の仕事などをしていると細かい繊細な作業が多いことに気づきました。
その日の天気や気温でやり方が変わります。
たとえば、気温が下がり室内温度が少しでも下がると木が反応して育ち方が変わります。
やってみて繊細な仕事だなと、とても感じました。
それと同時に両親に対しても「すごいな」と思うようになりました。
おわりに

高設栽培でいちごを育てているため、地面につかずきれいな状態でいちごを楽しめる安原観光いちご園。
いちご園やいちごを目にして、お客さんに美味しいいちごを食べてもらいたいという気持ちが伝わってきました。
いちご好きなかたはもちろん、甘いものが好きなかたは機会があれば一度行ってみてください。
普段食べるいちごとは違った、完熟いちごを味わえますよ。
著者:ミルクティー