2019年7月25日に発表された日産の決算の内容は、営業利益の大幅減を受け、1万2500人以上の人員削減などの対応をおこなうという、非常に厳しい内容となりました。しかし、日産がおこなった経営判断は「的確」だといいます。なぜでしょうか。

ゴーン体制の痛みを超えるために、日産がやるべきこととは

 2019年7月25日に発表された、日産の4月から6月期決算の報道を見ると「営業利益が昨年同期比で99%減」とか「従業員の10%に相当する1万2500人を削減」、はたまた「生産能力10%削減」などなど、非常に厳しい内容です。

 確かに、数字や状況を見ると「日産は大丈夫か」と思えてしまいますが、しかし筆者(国沢光宏)は、冷静になって評価すれば、的確な経営判断だと考えます。なぜ、そういえるのでしょうか。

 現在、日産の大きな課題として、すぐにでも対応しなければならない事案は4点あります。

 まず、日産の日本人社員にとって一番腹が立つ存在である高給取りな外国人社員のリストラ。ゴーン体制の悪い遺産といってよいです。カルロス・ゴーン元会長が直接採用した、というよりゴーン氏の一派が自分のポジションを安定さるために集めた人材といえるでしょう。

 もちろん仕事ができる外国人も多いけれど、半分以上は日本人社員よりはるかに高い給料を貰い、上司の外国人の顔色を伺うのみ。ゴーン氏の一派が抜けたら、存在価値すらなくなります。そもそも日産の精神など持っていないから、いなくたって問題なし。

 仕事のできる外国人は残すと思います。この機会にリストラできたら、会社にとってはバッチリでしょう。

 ゴーン元会長が立てた販売目標を達成するため、これまでに生産整備や人員も増やしました。一方、実際の販売台数を見ると増えていません。1990年代に起きた日産の経営危機の原因のひとつは、余剰人員の削減をしなかった点です。

 当時2万人削減しても生産にまったく支障ありませんでしたから、社員数の適正化は絶対に必要です。1万2500人の削減は良い経営判断だと思います。

 ふたつ目が売れるクルマ作り。直近の何年かは、海外市場に新しい技術を導入できていませんでした。

 燃費とドライバビリティの両立が可能なe-POWERや、それをベースにしたPHEV、アメリカでの売れ筋になっているクロスオーバーモデルなど、売れるクルマ作りを考えなければなりません。大きな市場である日本も、この10年間は縮小する一方です。

いまこそ決めるべき!? 日産の次の「顔」

 収益面で一番大きな問題がアメリカ市場でしょう。販売台数を確保するため、膨大なインセンティブ(販売奨励金)を使っています。

カルロス・ゴーン元会長カルロス・ゴーン元会長

 例えばリース制度。毎月のリース金額を安く設定するとクルマは売れるけれど、利益率が極端に落ちてしまいます。

 アメリカで利益が出なければ厳しいでしょう。これまた、ゴーン体制の時代に目標を達成するため、安直なインセンティブを使ったことが足を引っ張っています。

 新興国を意識して立ち上げた日産の第3ブランドである「ダットサン」も大低迷中です。安かろう悪かろうの代表みたいなクルマばかり作っているのだから仕方ありません。

 結果的に、新興国市場のシェアを大きく落としてしまいました。ダットサンブランドを本格的に立て直さない限り、東南アジアや東欧、ロシアなどで苦戦することになります。

 以上、4月から6月期の決算で打ち出した日産の経営戦略は的を得ていると思います。

 ただ、ゴーン元会長がいなくなった後、自動車企業にとって大切な「メーカーの顔」が見えなくなってしまいました。西川社長以外の経営陣もまったく顔が見えません。

 そもそも西川社長でいいのか、という点も含めて、日産と日産のステークホルダーはジックリ考えなければならないでしょう。