スズキには、日本未導入のモデルが多数存在します。なかには、日本のユーザーが発売を望むような新型SUVやミニバンもありますが、なぜ日本に導入しないのでしょうか。

日本には無い魅力的なモデルがいっぱい!

 最近、スズキの新型SUVが話題となっています。そのクルマの名前は「S-PRESSO(エスプレッソ)」。同社の小型車「イグニス」よりもコンパクトなのに、そのサイズのなかでしっかりとSUV感を出しています。

 スズキには、日本市場に出てこない海外仕様が多くありますが、どんなモデルがあるのでしょうか。

 新型エスプレッソは、インドでしか販売されない海外専用車ですが、発表のニュースを見たユーザーからは「このデザインならぜひ欲しい!」という声も少なくありません。

 スズキのインド法人であるマルチ・スズキ社には、こうした海外専売車のSUVがいくつかあります。

 たとえば、エスプレッソと同じ小型SUVの「ビターラ・ブレッツァ」。2016年に発売され、3年間で40万台も売った大ヒット車です。

 デビュー当初は、1.3リッターディーゼルエンジンを搭載していましたが、2019年の夏に1.5リッターガソリンエンジンとモーターを組み合わせたハイブリッド仕様を新たに追加。インド国内のディーゼル規制に向けた対策ですが、同モデルの人気をさらに高めるグレードとなりそうです。

 このモデルは全長3995mm×全幅1790mm×全高1640mmと、日本でも販売されている「SX4 S-CROSS」よりも全長、全高が小ぶりですが、そのスタイリングは重量感に溢れ、日本のユーザーにウケそうなデザインとなっているので、1.5リッターのマイルドハイブリッド仕様であれば日本でも通用するかもしれません。

 さらに、そのデザインの良さが光るのが、インド市場向けのミニバン「XL-6」です。インドには「エルティガ」という3列シート7人乗りのミニバンがありますが、XL-6は上位モデルにあたり、3列シート6人乗りです。ミニバンにSUV的なデザイン要素を加えたMPVで、2019年の夏にデビューしました。

 エンジンは、1.5リッターガソリンエンジン+モーターのマイルドハイブリッド仕様。ボディサイズは、全長4445mm×全幅1775mm×全高1700mmというサイズで、日本で販売されているSUV「エスクード」よりも一回り大きなボディです。このサイズで3列シートSUVというのは、現在の日本市場ではライバルが見当たりませんが、日本では少々小さい気がします。

 インドのモデルは日本で販売されているモデルよりも、少し全長が短いですが、デザイン的には魅力があります。日本での販売動向について、スズキの広報部は次のように話します。

「国内導入していない理由については、車種ごとに異なるため、一概に同じとはいえません。ただ、それぞれの地域の道路環境、使用方法、税制などに合わせて開発をおこなっているため、日本のお客さまのニーズとマッチしないところがあることから、導入しておりません」

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 エスプレッソやビターラ・ブレッツァの開発は、現地の状況をよく知るマルチ・スズキがデザインや設計を主導しながら、日本のスズキが協力して開発しています。ただ、開発にはインド独特のGST(物品サービス税)が大きく影響しているようです。

「全長4m未満かつ、排気量がガソリン1.2リッター以下、ディーゼル1.5リッターの車両の場合、GST税率が28%から31%なのに対して、それ以上のサイズ・排気量の場合は43%から50%となってしまうため、車両価格がグッと上がってしまいます。そのため、インドではエントリーカーや量販車は4m未満のサイズにすることが多いのです」(スズキ広報部)

 ちなみに、インドの2018年の乗用車販売台数は約337万台で、その内の約6割を全長4m以下のコンパクトカーが占めています。インドのSUVは少々小さめであることに加えて、関税や装備などを加えていくと、日本市場には合わない車両価格になってしまうようです。

 現在、インドは世界3位の自動車市場に成長するといわれており、世界の自動車メーカーが注目しています。

 北米市場から撤退しているスズキとしては、大切にしたいマーケットといえるでしょう。それゆえにインド独特のニーズや税制、さらには2020年に強化されるディーゼル規制を考慮しながら、魅力的なご当地モデルを造っているのです。