これまで販売されたクルマのなかには、似たもの親子のようなモデルがあります。人気モデルにあやかって、車格を小さく仕立て直したモデルもあれば、大小同時に開発されたモデルもあります。そんな親子関係なクルマを5車種ピックアップして紹介します。

2台並べて置いておきたい!? 親子な関係のクルマ5選

 クルマの開発をおこなう際に、費用を削減しつつ複数の車種をつくるために、プラットフォームやエンジンを共用する「兄弟車」や「姉妹車」が存在します。

 一方で、大きいモデルと小さいモデルの「親子」のような関係のモデルも存在します。

 人気があるモデルに寄せるように、同じイメージで小さいモデルをつくったり、大小のモデルが同時に開発されたケースもあります。

 そんな似たもの親子のようなクルマを、5車種ピックアップして紹介します。

●日産「ラングレー」

 高性能なイメージを持つ日産「スカイライン」は、代をかさねるごとにファンを増やしていきましたが、主力グレードは価格が高く、若者が簡単に買えるものではありませんでした。

 そこで、5代目スカイラインが1979年のマイナーチェンジで、角形2灯異型ヘッドライトに変更されると、1980年にはフロントデザインがスカイラインにそっくりなエントリーモデル「ラングレー」が登場。

 ラングレーは当時のコンパクトカー「パルサー」とプラットフォームや多くの部品を共用した3ドアハッチバックで、発売当初は1.4リッター直列4気筒OHVエンジンを、フロントに横置きに搭載したFFレイアウトを採用したことで、コンパクトカーとしては広い室内空間を実現していました。

 ラングレーは、広告のキャッチコピーもスカイラインに寄せて「愛のラングレー」とされ、2代目では「ポールとポーラの新ラングレー」、3代目ではレーシングドライバーで、過去のスカイラインのCMにも出演していた鈴木亜久里氏を起用し、若者に訴求します。

 また、3代目で追加された4ドアセダンには、スカイラインを模した丸型4灯テールライトとなっていて、まさに「スカイラインズ・ミニ」といえるモデルとなっていました。

●三菱「パジェロミニ/ジュニア」

 1982年にデビューした三菱「パジェロ」は、高い悪路走破性を持つ本格的なクロスカントリー車で、過酷なレースとして世界的に有名な「パリ・ダカールラリー」でクラス優勝するなど、初代から高い評価を受けていました。

 そして1991年に2代目にモデルチェンジされると、1980年代半ばからのスキーブームやRVブームに上手く乗り、高価格なRVでありながら大ヒットを記録。

 しかし、パジェロでは日常使いで持て余してしまうサイズだったことや、燃費が悪く維持費もかかるとして、パジェロの技術を軽自動車枠に凝縮した「パジェロミニ」を1994年に発売します。

 安定した販売台数を確保していたスズキ2代目「ジムニー」に対抗し、最高出力64馬力発揮する660cc直列4気筒DOHC 5バルブターボエンジンを搭載。

 低価格なRV車が欲しい層だけでなく、この5バルブエンジンに興味があって購入した人も多く、人気車となりました。

 パジェロミニのルックスは、人気だった2代目パジェロを縮小したデザインで好評でしたが、さらに1995年には、パジェロミニをベースに1.1リッター直列4気筒エンジンを搭載して、オーバーフェンダーを装着した「パジェロジュニア」を発売。1993年から販売されていた「ジムニーシエラ」の対抗馬となりました。

●日産「ローレルスピリット」

 1968年に日本初のハイオーナーカーとしてデビューした日産初代「ローレル」は、「ブルーバード」と「セドリック」の間に位置するミドルクラスセダンです。

 2代目と3代目は、ややアメリカ車の要素を持ったデザインとなっていましたが、1980年にモデルチェンジされた4代目では、ヨーロピアンテイストのルックスに変貌します。

 そして1980年代になると、「サニー」のようなコンパクトカーも、上級車種と同じ贅沢な装備を求めるニーズが高まり、ローレルと似たルックスの「ローレルスピリット」を1982年に発売。

 エンジンやシャシなどはサニーのものを流用しながら、装備を充実させ、全車1.5リッターエンジンを搭載することでサニーと差別化されていました。

 低グレードを除いて、パワーステアリング、パワーウインドウ、集中ドアロックなどを装備。インテリアのカラーもローレルに似たイメージで、外観にはメッキパーツを多用してローレルの雰囲気を上手く再現していました。

 ラングレーのパターンと同様に、ローレルそっくりのフロントフェイスや、2トーンカラーも設定されるなど、まさに小さなローレルという仕上がりでした。

小は大を兼ねる!? 親子で大きさが逆転したモデルとは

●スズキ「スイフト」

 スズキ「Kei(ケイ)」は、1998の軽自動車規格改定と同時に発売された、クロスオーバーSUVの軽自動車です。

 発売当初は3ドアハッチバックのみで、やや車高が高いセミトールスタイルが特徴的でした。また、最低地上高が高く、大径タイヤを装着して悪路走破性を高めた、4WD車もラインナップ。

 1999年には5ドアハッチバックが追加され、さらに2000年にはkeiと多くのパーツを共有した「スイフト」が発売されます。

 スイフトは低価格・低ランニングコストなクルマを求める層をターゲットとして、「ワゴンR+」のプラットフォームを利用し、Keiのドアなどの外装パネルを流用したコンパクトカーです。

 搭載されたエンジンは最高出力88馬力を発揮する1.3リッター直列4気筒エンジンで、トランスミッションは4速ATのみ。決してパワフルなエンジンではありませんが、800kg台の軽量な車体には十分なパワーでした。

 後に追加された廉価グレードでは5速MTも設定され、2002年には、この廉価グレードにパワーウインドウやフルホイールキャップ、オーディオを装備し、当時の一般的な軽自動車を下回る79万円に値下げして販売するなど、大いに話題となりました。

●ダイハツ「テリオスキッド」

 1997年に登場したダイハツ「テリオス」は、初めて4WD車を購入する層をターゲットに開発された、クロスオーバータイプのSUVです。

 背が高い5ドアハッチバックのボディに、93馬力を発揮する1.3リッター直列4気筒エンジンを縦置きに搭載し、悪路での高い走破性を実現していました。

 そして1998年には、テリオスのボディを軽自動車規格内に収め、660ccエンジンを搭載した「テリオスキッド」を発売。

 軽規格内に収めるため全長と全幅を縮小していましたが、テリオスと多くの部分が共通であることから、荷室以外の室内空間は比較的広く、使い勝手の良さが好評となります。

 搭載されたエンジンは最高出力64馬力の660cc直列3気筒インタークーラーターボと、60馬力の直列3気筒ターボの2種類が用意され、トランスミッションはともに5速MTと4速ATを設定。

 駆動方式は軽自動車で唯一のセンターデフにロッキング機構が付いた、フルタイム4WDを採用し、オプションでリヤのLSDも用意されるなど、本格的なオフロード走行も可能でした。

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 今回は親子のような関係のクルマを紹介しましたが、いまではほとんど消滅してしまいました。現行車種で残っているのはスイフトですが、もはや親子関係のモデルは存在しておらず、単独で開発されています。

 昔は、親子関係にあるモデルが比較的多く、たとえば軽1BOXをベースに3列シートの登録車に格上げされた、スバル「ドミンゴ」、ダイハツ「アトレー7」、三菱「タウンボックスワイド」、スズキ「エブリイプラス」がありましたが、走行安定性や安全性は、お世辞にも高くなく淘汰されてしまいました。