いまや高速道路は日本全国を繋いだ交通の要といえる存在です。では、高速道路を使わない場合、クルマが1日で行ける限界はどこなのでしょうか。

日本橋を起点に、五街道バーチャルドライブ!

 今や長距離移動になくてはならない存在の高速道路。しかし、約60年前までは高速道路はありませんでした。もし昔のように高速道路が無かったとしたら、東京・日本橋からクルマを使って1日でどこまで行けるのでしょうか。

 近年は、新たな高速道路の開通が続いています。2012年4月には、静岡県から愛知県にわたって新東名高速道路が開通し、2020年3月22日には、東名高速道路・第三京浜道路・首都高速道路を結ぶ、「横浜北西線」が開通します。

 江戸時代には、江戸・日本橋を起点として、全国に広がる5つの主要な街道がありました。東海道、中山道、甲州街道、奥州街道、日光街道の「五街道」です。

 東京・日本橋を起点として、その五街道の各方面を目指すとしたら、1日でクルマはどこまで行けるのでしょうか。高速道路を使用しない下道ルートを、Google Mapを使ってバーチャルドライブしてみました。

●東海道

 まずは1ルート目、東海道です。東海道は東京・日本橋をスタートし、神奈川・静岡・愛知などを経由して、京都の三条大橋に至ります。

 クルマでは、まず神奈川県から静岡県にまたがる「国道246号」で西を目指します。ところが、出発から半日の12時間時点で、東海道の終着地点である三条大橋に到着してしまいました。

 そのため、さらに西を目指して九州方面へ向かいます。「あと少しで九州」というところでタイムリミットの24時間を迎えました。到着したのは山口県山口市の湯田温泉までで、走行距離は1049kmでした。

 高速道路を使い、同じルートで湯田温泉まで行った場合、所要時間は14時間38分、走行距離は1027kmとなります。

 高速道路なら下道より9時間22分も早く到着できる計算ですが、下道でも半日で京都まで行ける、驚きの結果となりました。

●中山道

 2ルート目は中山道です。東京を出発すると、埼玉・群馬・長野・岐阜などを経由して、東海道と同じく、京都の三条大橋へと至ります。

 クルマでは、日本橋を出発し、国道17号と国道18号を使って、長野県の軽井沢、下諏訪を経由し、群馬県の草津へ13時間で到着。

 せっかくですので、ここからは京都を目指すのではなく、滋賀県の米原を通り、北陸方面へ行ってみたいと思います。果たしてどこまでいけるのでしょうか。

 福井県、富山県を通過し、新潟県南魚沼郡にある「ガーラ湯沢スキー場」に着いたところで24時間が経過、走行距離は1052kmでした。

 高速道路を使うと、同じルートでは所要時間15時間35分、走行距離は1056kmです。下道より9時間くらい早いものの、走行距離は下道のほうが4km短い結果となりました。

●甲州街道

 3ルート目は甲州街道です。東京・日本橋からほぼ真西へ向かう街道で、山梨を通り、最終的には長野の下諏訪で、中山道に合流します。

 クルマでも同じように、まずは日本橋から長野県下諏訪方面を目指します。日本橋から新宿、八王子、甲府を通り、下諏訪で先ほどの中山道と合流。所要時間6時間ほどで到着したため、今度はそのまま日本海沿いの国道を通って、北へ向かってみましょう。

 新潟県から日本海に出ると、山形県、秋田県を通過し、24時間経った時点での走行距離は1054km、本州最北端の町である、青森県大間町に到着できました。

 高速道路で大間町まで行った場合の所要時間は、東北自動車道経由で15時間51分、距離は1151kmでした。日本列島は弓なりになっているため、新潟から日本海に出ると、日本をほぼまっすぐ北に上るルートとなります。そのため、走行距離が短くなったといえます。

下道と高速道路、かかった時間の差は合計どれくらい?

●奥州街道

 4ルート目は、奥州街道です。日本橋から宇都宮までは、日光街道と共通の道で、奥州街道は福島県白河市へと分岐していきます。

 クルマでは、日本橋から栃木県宇都宮を経由し福島・白河方面へ向かいます。しかし、福島県白河市までは、ほかの街道と比べて圧倒的に短い4時間46分で到着してしまいました。そのため、ここからさらに北を目指し、北海道まで進んでみます。

 すると、24時間が経過する頃には北海道に入り、函館を通過し、札幌市時計台にまで至りました。走行距離は1083kmで、ほかの街道よりも約30kmほど多い最長距離を誇りました。

 高速道路を使って札幌市時計台を目指した場合は、17時間6分、走行距離は1179kmとなります。

●日光街道

 最後の5ルート目は日光街道です。日本橋から宇都宮まで奥州街道と同じ道のりをたどり、日光東照宮へと分岐していきます。

 クルマでも同じように、日本橋から栃木県日光市を目指します。すると、五街道中最短の3時間55分で日光に到着してしまいました。まだまだ時間に余裕があるので、ここから逆方向へ進路を取り、四国へと向かってみます。

 中部・近畿地方を通り過ぎ、大阪府を超えて岡山県と香川県にかかる瀬戸大橋を渡り、とうとう四国へ。そして高知県南国市にある「高知空港」でタイムリミットの24時間を迎えました。

 走行距離は1088km。北海道へ向かった奥州街道に比べ、さらに4kmも遠くへ行くことができました。

 高速道路を使った場合、同じルートでは所要時間13時間54分と、5つのルートのなかでもっとも短い時間で行くことができました。ただし、走行距離は1093kmとなり、下道とほぼ変わりません。

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 東京・日本橋から、江戸時代の五街道が広がる各方面へ出発し、全5種類の行き先を制覇しました。

 総移動距離は、下道で5326km、高速道路で5506kmとなり、渋滞などを考慮しない場合は、クルマでは1日1100kmまで移動できることがわかりました。ただし、これは運転をし続けた場合なので、実際にはさらに短くなります。

 総所要時間は大きく差がつきました。下道の場合の合計所要時間は、24時間×5=120時間。それに対して高速道路で同じ場所に行った場合、総所要時間は77時間4分で済みます。

 高速道路を使うと、なんと36%も時間短縮できる計算になります。下道と高速道路、同じ移動距離で考えると、圧倒的に高速道路のほうが早く目的地に行けるということが証明できました。

 一般道は信号待ちや渋滞があります。長時間の運転は疲れてしまい、心も体も休まりません。それに比べて高速道路は渋滞や工事はあるものの、交差点や信号も無く、道路も走りやすい構造をしています。歩行者もいないため、一般道に比べて楽に感じることも多いでしょう。

「ちょっとお金を節約したいから、高速道路を使うのを我慢しよう」と思っても、実は貴重な時間を失っているのかもしれません。大切な時間のためにも、積極的に高速道路を使う選択も「あり」といえるでしょう。