ホンダといえば黎明期から革新的なバイクやクルマを発売してきたメーカーです。そのため、新型車を出すとなると大いに期待されましたが、応えられていないこともありました。そこで、期待が高すぎたホンダ車を5車種ピックアップして紹介します。

良いクルマだけど期待が高すぎたホンダ車たち

 1963年に発売されたホンダ初の4輪自動車は、当時の常識を覆すDOHCエンジンを搭載した軽トラックの「T360」でした。また、1981年に登場した「シティ」は、コンパクトカーの概念を変えたモデルです。

 このように、ホンダは数々のエポックメイキングなクルマを開発してきたため、新型車が発売されるとなると大いに期待されるようになります。

 しかし、なかには期待に応えられなかったモデルも存在。そこで、期待が高すぎたホンダ車を5車種ピックアップして紹介します。

●シビックタイプRユーロ

 ホンダの高性能グレードである「タイプR」シリーズは、1992年の「NSXタイプR」から始まり、1995年に「インテグラタイプR」、そして1997年に「シビックタイプR」と、バリエーションを拡充しました。

 シビックタイプRは、定石どおりエンジンやサスペンションを高度にチューニングされたモデルで、2009年には欧州仕様のシビック3ドアハッチバック「TYPE R EURO(タイプRユーロ)」が、台数限定で発売。

 エンジンは最高出力201馬力を誇る2リッター直列4気筒を搭載し、6速MTが組み合わされます。

 また、専用チューンドサスペンション、18インチアルミホイール、専用エアロパーツのほか、本革巻ステアリング、アルミ製シフトノブ、メタル製スポーツペダル、専用バケットシートなどを装備していました。

 しかし、同時期に販売された国内生産の4ドアセダンのシビックタイプRは最高出力225馬力を発揮しており、スペック的に見劣りしていたことに加え、プラットフォームが「フィット」と同じだったため、リアサスペンションが廉価なトーションビーム式を採用していたことなどで、人気が高まることはありませんでした。

 走り自体の評価は高く、シビックタイプRほど中古車価格は高騰していないため、いまならお買い得な高性能車かもしれません。

●レジェンド

 1985年にデビューしたホンダ「レジェンド」は、ホンダらしさがあふれるスポーティなフラッグシップモデルです。

 2004年にモデルチェンジされた4代目では、全長4930mm×全幅1845mm×全高1455mmの堂々としたサイズのボディに、それまでの自主規制値を初めて超えた最高出力300馬力を発揮する、新開発の3.5リッターV型6気筒エンジンを搭載。

 駆動方式は世界初となる4輪の駆動力を自在に制御するシステム「SH-AWD(スーパーハンドリングAWD)」を採用し、スポーツカー並の高いコーナリング性能を誇りました。

 自動車メディアからハイパワーなエンジンとSH-AWDは高く評価されましたが、高級車に重要な押し出し感が弱かったためか、評判の良さほどは人気とならず販売は低迷。

 2008年には排気量が3.7リッターとなり309馬力まで出力が高められ、重厚さがあるフロントフェイスに一新。2010年にはホンダ車で初の6速ATを採用など、テコ入れがおこなわれましたが、販売台数が伸びることはなく、2012年に販売を終了します。

●CR-Z

 2010年に発売された「CR-Z」は、全長4080mm×全幅1740mm×全高1395mmと、コンパクトな3ドアハッチバックのハイブリッドカーです。

 環境性能が優先されるハイブリッドカーであっても、運転する楽しさを強調したモデルとなっていました。

 パワーユニットは114馬力の1.5リッター直列4気筒エンジンに14馬力のアシスト用モーターを組み合わせた、ホンダ独自のハイブリッドシステムを搭載し、駆動方式は全グレードがFFです。

 トランスミッションはCVTまたは6速MTが選択可能で、10・15モード燃費はCVT車が25km/L、MT車が22.5km/Lを達成し、環境対応車普及促進税制に適合していました。

 CR-Zという車名やスタイルからライトウエイトスポーツカーの「CR-X」の再来と期待されましたが、実際にはCR-Xほどのシャープな乗り味ではありませんでした。

 2012年のマイナーチェンジでエンジンが120馬力(MT車)、モーターが20馬力と出力向上がおこなわれ、同時に、ハンドルに装備されたボタンを押して、アクセルを少し踏み足すことで力強い加速を瞬時に得られる「PLUS SPORTシステム」を搭載。

 よりスポーティな雰囲気を味わえましたが人気は低迷し、2016年に生産を終了しました。

現行モデルにも期待が高すぎたモデルがある!?

●S660

 2015年に発売されたホンダ「S660」はミッドシップオープン2シーターの軽自動車です。

 エンジンは「N-BOX」などと同じ660cc直列3気筒ターボですが、ターボチャージャーが新設計され、1速から5速をクロスレシオ化した6速MTまたは7スピードモード付CVTを設定。

 また、前後重量配分が45:55という理想的なバランスで、ブレーキ制御を活用してコーナリング時に少ないハンドル操作でスムーズな車両挙動を実現する「アジャイルハンドリングアシスト」を採用。軽自動車という制約のなかで運動性能を最大限に高めています。

 S660の発売に先立って、2011年と2013年の東京モーターショーで、小型オープン2シーターのコンセプトカーが出典されたことで、「ビート」の再来と期待が高まりました。

 しかし、発売されると廉価なグレード「β」でも198万円(6速MT/CVT:消費税8%込)と、軽自動車としてはかなり高額で、発売当初は納車待ちのバックオーダーを抱えましたが、ヒット作にはなっていません。

●CR-V

 1995年に登場した「CR-V」は、シビックのプラットフォームをベースに開発され、シティユースを重視したクロスオーバーSUVとして大ヒットします。

 その後、CR-Vは北米市場を意識して3代目からはボディが大型化されて、2016年には4代目をもって一旦国内販売を終了。北米ではその後5代目が発売され、SUV人気の高まりを受けて2018年から国内市場にもCR-Vが復活しました。

 5代目CR-Vは新世代のプラットフォームに刷新され、優れたハンドリング性能と快適な乗り心地を両立。

 また、パワーユニットには歴代初となるハイブリッドが設定されるなど、これまでに無い進化を遂げました。

 北米で先行して販売されて高い評価を得ていたため、満を持して国内市場に投入されましたが、価格(消費税8%込)が323万280円から436万1040円と、ライバル車よりも高い価格設定で、直近では月販1000台を下回る状況で、苦戦を強いられています。

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 近年、ホンダは「ステップワゴン」やN-BOXシリーズなどが大ヒットしたことで、ホンダらしさが失われたと評する人もいますが、現在もNSX、シビックタイプR、S660と、3車種もスポーツカーを販売する稀有なメーカーです。

 また、国内で唯一のF1に参戦しているメーカーでもありますから、「ホンダスピリッツ」は失われていません。

 これからも、きっとワクワクするようなホンダ車が登場することでしょう。