かつて、クロカン車といえばトヨタ「ランドクルーザー」や三菱「パジェロ」、日産「サファリ」などがありましたが、日本独自規格の軽自動車にも軽クロカンとよばれるモデルがありました。今回は、人気のある軽クロカンを3車種紹介します。

発売から約2年、未だ納期1年以上のスズキ「ジムニー」

 クロスカントリー車(クロカン車)とは、舗装されていないオフロード走行に適したクルマを指します。普通のクルマではとても走ることができない、険しい山道や荒野などを突き進むため、それだけの耐久性や走破性、ボディー形状などの、一般のクルマとは違った条件が求められます。

 軽自動車においても、限られた規格のなかで作られたクロカン車が注目を集めています。そのなかでも、人気な3車種をみていきます。

●スズキ「ジムニー」

 クロカンユーザーに根強い人気を誇っているのがスズキ「ジムニー」。発売当初から一貫して採用されている「ラダーフレーム構造」によって、あらゆるオフロードを走破することが可能です。

 ラダーフレーム構造とは、一般的なモノコック構造とは違い、高いねじれ剛性を実現しているため、段差や悪路でも安定的なパワーバランスを発揮することができます。

 また、クロカンで重要視されるスペックのうち、悪路の走破性を示す「3アングル」と呼ばれる指標があります。この3アングルでも、ジムニーは優秀です。

 前方の障害物を乗り越えるための「アポローチアングル」は41度、障害物がボディ下部に触れずに乗り越えられる「ランプブレークオーバーアングル」は28度、マフラーやリアバンパーが障害物に触れずに乗り越えられる「デパーチャーアングル」は51度となっています。

 これは、メルセデス・ベンツ「G550」の「31度・26度・30度」、ジープ「ラングラーアンリミテッド」の「43.9度・22.6度・37度」と比べても、優秀な数字です。

 さらに、左右の車輪をダイレクトにつなぐ「3リンクリジッドアクスル式」は、過酷な悪路であってもそれぞれのタイヤがしっかりと地面を捉え、大きな対地クリアランスを確保することができます。

 また、国内仕様のジムニーは登録車のシエラも含め、すべて2ドア設定となっていますが、これはボディの強度を保つためといわれ、使い勝手を犠牲にしてまでも、オフロード車としての性能を最大限に高めていることに、こだわりが見られます。

 外装はオフロード感を意識したデザインとなっており、なかでも悪路走破を想定したバンパー形状や、存在感を示す背面タイヤなどが特徴的です。

 ジムニーの人気について、スズキの販売店スタッフに話を聞いたところ、「納期は1年以上、シエラであれば1年半から2年」とのことでした。

 また、「ジムニー女子」と呼ばれるジムニー乗りの女性も増えており、今後のクロカン業界の盛り上がりに注目です。

生産終了後も人気な軽クロカン車

●三菱「パジェロミニ」

 中古車市場で、密かにジムニーのライバル車といわれるのが「パジェロミニ」です。1994年に初代が発表された当時、車名を一般公募したことでも話題となりました。

 最終モデルである2代目は、幾度の改良が加えられながら、1998年から2017年の19年に渡って販売された人気車種です。

 本格的4WD「パジェロ」の小柄なバージョン、といったイメージがありますが、ジムニーのようなラダーフレーム構造ではなく、通常のモノコックボディにラダーフレームを組み合わせた「ビルトインモノコック構造」を採用しています。

 この独自のモノコック構造により、オフロードでも高い走破性を可能とし、ジムニーと同じく車高の高さと大きいサイズのタイヤを採用。切り替え式4WDやデフロックなどを装備することで、あらゆる悪路を突破することができます。

 基本はオフロードをコンセプトにしたクルマとなっていますが、低燃費の実現や安全性能の追及など街乗りにも最適なモデルや、若者向けにデザインされた「デューク」や「リンクス」といった派生車種も誕生しています。

 また、2008年から2012年には日産へOEM供給し「キックス」の名で販売されていました。

●ダイハツ「テリオスキッド」

 1998年から2012年まで製造販売されていたのが「テリオスキッド」です。軽規格の本格オフロード仕様でありながら、4ドア設定といった実用性も兼ね合わせたクルマとなっています。

 2002年の国土交通省・自動車事故対策センターの安全性能総合評価では「助手席6つ星、運転席5つ星」の高評価を得ています。

 オフロードで重要視される4WDシステムには、軽自動車のなかでは珍しい「センターデフ付きフルタイム4WD方式」を採用し、インパネのスイッチひとつでデフロックのオンオフを切り替え可能なため、クロカン初心者には便利な装置となっていました。

 また、オプションでは、リアデフにダイレクトトラクションLSDが設定されていたモデルもありました。カスタムモデルの設定もあり、前後にエアロバンパー、サイドステップ、アルミホイールの装着といった、おしゃれなモデルは若者にも人気があったようです。

 加えて、2007年には創立100周年特別仕様車として「カスタムメモリアルエディション」が復活し、MOMO革巻ステアリングや専用のフルファブリックシート、メッキグリル、メーターなどを取り入れた特別なモデルも登場しています。

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 世界でクロカンに強い日本車といえば、トヨタ「ランドクルーザー」や三菱「パジェロ」などが有名です。しかし、日本の狭い道路事情では、ジムニーなどの軽自動車がクロカンユーザーには人気が集まっているようです。