現在、三菱はSUVと軽自動車を中心に販売していますが、かつてはさまざまな車種をラインナップしていました。そこで、往年の三菱車のなかから、優れたデザインと評されるモデルを5車種ピックアップして紹介します。

クーペからクロカン4駆まで、優れたデザインの三菱車を振り返る

 現在はSUVや軽自動車の販売を主力とする三菱ですが、かつてはセダンやクーペなど、さまざまな車種を展開していました。

 そのなかでも、優れたデザインと評されたモデルが存在。そこで、往年の三菱車のなかから、優れたデザインと評されるモデルを5車種ピックアップして紹介します。

●コルトギャランGTO

 1969年に発売された「コルトギャラン」は、当時の国産4ドアセダンとしては美しいデザインで人気となりました。

 そして、スポーティカーのニーズが高まり始めていた1970年に、派生車として2ドアハードトップである「コルトギャランGTO」が登場。

 全長4125mm×全幅1580mm×全高1310mmのボディは、フロントノーズからテールエンドまで続く「ダイナウェッジライン」と呼ばれた流麗なラインが特徴です。

 先行車を睨みつけるようなシャープなフロントフェイスや、トランクリッド後端を跳ね上げらせたダックテールデザインなど、国産車離れしたスタイリッシュなボディで人気車種となりました。

 搭載されたエンジンは、当初1.6リッター直列4気筒SOHCのみでしたが、数か月後にはDOHCヘッドを搭載した「コルトギャランGTO MR」を追加。

 1973年には2リッターエンジンを搭載するトップグレードの「コルトギャランGTO GS-R」が登場し、太いタイヤを収めるためのオーバーフェンダーが装着されるなど、迫力ある外観で人気を得ました。

●ジープ

 アメリカは1952年に、朝鮮戦争に必要な軍用車「ジープ」を調達するために、補給基地だった日本での生産を決め、ジープを開発したウイリス社と三菱との提携契約が締結されたことで、ジープのノックダウン生産が日本で始まりました。

 そして、1956年には完全国産化をおこなったことで「ジープ=三菱」のイメージが定着し、ジープは4輪駆動車の代名詞になります。

 朝鮮戦争後もジープの生産は続き、ショートホイールベース、ミドルホイールベース、ロングホイールベースの3タイプをラインナップして販売されました。

 余計な加飾がなく、機能が優先された無骨なボディは、速く走ることに特化したフォーミュラカーと同様に、機能美といえる優れたデザインが施されていました。

 搭載されたパワーユニットはガソリンエンジンとディーゼルエンジンがあり、トランスミッションはMTのみで、トランスファーを手動で操作して2WDと4WDを切り替える、パートタイム式4WDシステムを採用。

 ジープは、より近代的な「パジェロ」と併売されつつ1998年に生産を終了しましたが、悪路走破性と耐久性が極めて高く、自衛隊や警察、消防、林業、土木関連など、多くの場所で活躍しました。

●ギャランVR-4

 1987年、世界ラリー選手権に参戦することを目的に三菱「ギャランVR-4」が発売されました。

 ベースとなった6代目ギャランは5ナンバーサイズのスクエアボディで、剛性を重視しながら居住空間にも配慮し1440mmまで全高が高められていました。

 一見するとオーソドックスなデザインのギャランVR-4ですが、フォグランプ埋め込み型のフロント大型バンパーと、角型4灯ヘッドライトと薄いフロントグリルによる「逆スラントノーズ」により、力強さを秘めたフロントフェイスを表現。

 また、ボンネットフードは長めで、ドライバーの視界を確保しやすい大きめのグラスエリアを持つキャビンスペースがあり、ややショートなトランクと全体のバランスに優れ、安定感のある印象を醸し出していました。

 搭載されたエンジンは、2リッター直列4気筒DOHCターボで、当時クラス最強の最高出力205馬力を発揮。最終仕様では最高出力240馬力に到達するなど、おとなしい外観からは想像がつかないほどの動力性能を誇っていました。

 ギャランVR-4は後に続いた「ランサーエボリューション」シリーズの源流であり、現在では少数となった国産ハイパワー4WD車の元祖ともいわれ、記憶に残る三菱車の1台です。

バブルに輝いたクーペとセダンとは!?

●エクリプス

 1989年にデビューした「エクリプス」は、スポーティなスペシャリティクーペで、リトラクタブルヘッドライトを備えたフロントフェイスと、曲面を多用した流麗でワイド&ローなスタイルが特徴です。

 エクリプスはアメリカの工場で生産され、高い競争力を持つ価格のスポーツカーとするために「ギャラン」をベースにしたことにより、全長4395mm×全幅1690mm×全高1320mmの非常にコンパクトなサイズとなっています。

 搭載されたエンジンは最高出力200馬力の2リッター直列4気筒DOHCターボと、140馬力の自然吸気の2種類で、ターボ車はフルタイム4WDが組み合わされるなど、スタイルに負けない動力性能を誇りました。

 実際に「SS 1/4マイル(0-400m発進加速)」は15.1秒の俊足ぶりを発揮し、北米市場では「スタリオン」の後継車として、スポーツコンパクトカーの代表格となるほどの人気となります。

●ディアマンテ

 日本が好景気に湧いていた1990年に、ギャランの上級セダンとして同社初の3ナンバー専用ボディを採用した「ディアマンテ」を発売。

 当時、他社のアッパーミドルクラスセダンは、従来から続いていた5ナンバーサイズが販売の主力だったことに対し、ディアマンテは税制改正により所有しやすくなった全幅1775mmの3ナンバーサイズとし、価格も比較的安価に設定していたことから大ヒットとなりました。

 デザインも、センターで分割されるフロントグリルを採用する逆スラントノーズのフロントフェイスは精悍な印象で、シックで落ち着いた感じと直線的で重厚感のあるスタイルも高く評価されます。

 エンジンは全グレードともV型6気筒を採用し、排気量は2リッター、2.5リッター、3リッターの3タイプで展開。トランスミッションは5速MTと4速ATが設定されていました。

 また、クラス初のフルタイム4WDシステムやトラクションコントロールシステム、4WS(4輪操舵システム)、アクティブコントロールサスペンションなども備え、見た目と同じく重圧感がある高級車然としたドライブフィールを実現。

 そして、1990年-1991年の日本カー・オブ・ザ・イヤーを獲得しただけでなく、1990年のグッドデザイン賞を受賞するなど、名実ともに優れたセダンと評されました。

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 三菱は幾度かの経営危機があったことから、大幅な車種整理をおこない、前述にあるとおり現在はSUVと軽自動車が主力商品となっています。

 また、かつてRVブームをけん引して大ヒットを記録したパジェロも、2019年に国内向けの販売を終了したことは、大きな話題となりました。

 会社の存続のために大ナタを振るうことは仕方のないことですが、ぜひ、かつてのような元気な三菱の姿が見てみたいものです。