2019年10月16日に世界初公開され、翌年2月10日に発売されて大きな話題となったトヨタ新型「ヤリス」。コロナ禍にある現在も売れ行きは好調です。その魅力は、いったいどこにあるのでしょうか。

目指したのは「もっといいクルマづくり」

「走る楽しさと、世界最高レベルの低燃費、先進の安心安全技術を備えたコンパクトカーの域を超える、新世代コンパクトカー」として、2020年2月10日に発売されたトヨタ新型「ヤリス」。

 新型コロナウイルスの感染拡大が社会問題となる直前の2月に販売が開始されたこともあり、発売後1か月間での受注台数は約3万7000台と、月販目標台数(7800台)を大幅に上回る快調な滑り出しとなりました。

 さらに、日本自動車販売連合会(以降 自販連)が発表した乗用車ブランド通称名別順位2020年では、3月の販売台数は1万3164台、4月は1万119台、5月は1万388台と、コロナ禍でも大幅に販売台数を落とすことなく好調です。

 そんなヤリスの魅力は、いったいどこにあるのでしょうか。

 1999年、トヨタはコンパクトカーの世界標準を作ることを目標に、トヨタの持てる技術の総力を結集して開発した初代「ヴィッツ」(海外名:ヤリス)を発売。

 広々とした室内空間と、優れた基本性能をミニマムサイズで実現するために、プラットフォーム、エンジン、トランスミッション、サスペンションなど、主要コンポーネントすべてが新設計されました。

 そして、今回発売された4代目となる新型で、車名を国内名のヴィッツから海外名のヤリスに統一。次の時代に求められるコンパクトカーの新たな価値を追求し、開発されました。

 新型ヤリスには、今後トヨタの先進国向けコンパクトカーのベースとなるTNGAプラットフォーム(GA-B)が初採用されたほか、エンジン、ハイブリッドシステム、トランスミッション、サスペンションなど、すべてをゼロベースから作り上げられています。

 開発を担当したチーフエンジニア 末沢泰謙氏は発売当初、次のようにコメントしています。

「初代誕生から20年の節目の年、ヤリスならではのコンパクトであることの強みを活かしつつも、プラットフォームやパワートレーン等、すべてを刷新し、お客様の既成概念をはるかに超えるクラスレスな新世代コンパクトカーを作り上げました。

 また、多くの方が乗るコンパクトカーだからこそ、走る楽しさはもちろん、世界最高レベルの低燃費と安心安全技術を、このヤリスから搭載しました」

 この言葉通り、新型ヤリスがユーザーから好評を得ている点は、今にも走り出しそうなアクティブで躍動感のあるデザインや、ハイブリッド車の力強くシームレスな走りと、コンパクトカークラスで世界トップレベルのWLTCモード36.0km/Lという低燃費、トヨタ初となる高度駐車支援システム「Toyota Teammate[Advanced Park(パノラミックビューモニター機能付)]」や交差点右折時の対向直進車・右左折後の横断歩行者も検知対象とした最新の「Toyota Safety Sense」などの先進安全技術だといいます。

 そして、受注台数のうちハイブリッド車の内訳は約45%。

 そのことからも、全長3940mm×全幅1695mm×全高1500mmというコンパクトなサイズながら室内空間の広さと低燃費、そしてハイブリッドモデルに絞っても、価格(消費税込)は199万8000円から249万3000円というコストパフォーマンスの良さも人気の理由といえるでしょう。

 ほぼ同時期の2月14日に発売されたホンダ新型「フィット」の自販連による3月の販売台数は1万4845台。発売直後はヤリスを多少上回る販売台数を誇っていたにも関わらず、その後コロナ禍の影響を受け、4月は8977台、5月は7235台と、減少傾向です。

 価格帯にも大きな差はないにもかかわらず、コロナ禍で両車が明暗を分けた理由はどこにあるでしょう。

 それは、2020年9月頃の販売が予定されている新型「GRヤリス」が牽引する「WRCで競争力あるクルマ」というイメージが、そのベースとなる新型ヤリスにも色濃く付いており、他社のコンパクトカーにはない、走破性と耐久性の高いコンパクトカーという印象も、「お得感」という意味でのコストパフォーマンスの高さを向上させていることが考えられます。
 
 新型コロナウイルスの感染拡大がおさまりつつあるなかで、ヤリスはこの好調を継続することができるのでしょうか。

 クルマでの遠出が解禁される今後こそ、コンパクトカーそれぞれ個々の真の価値が問われることになるはずです。