かつてトヨタ「RAV4」は、販売低迷の影響から姿を消しましたが、2019年4月に復活すると、瞬く間に人気SUVに返り咲き、現在ではSUV市場をけん引しています。発売1年のRAV4の動向はどうなっているのでしょうか。また、新型ハリアー登場による影響はあるのでしょうか。

RAV4登場から約1年。 PHV追加でも新型ハリアー登場でどうなる?

 2019年4月10日に日本市場へ約3年ぶりの復活を果たしたトヨタのミドルサイズSUV「RAV4」は、発売から約1年経ちました。2020年6月には派生車としてプラグインハイブリッドを搭載する「RAV4 PHV」の追加や、同社の同じミドルサイズSUVとして新型「ハリアー」が出るなど、RAV4を取り巻く環境はどのように変化しているのでしょうか

 初代RAV4は1994年に登場。当時のSUVモデル(4WD車)は、オフロード走行を目的とした本格的なクルマとして位置づけられていましたが、RAV4は乗用車タイプのSUV(クロスオーバーSUV)という新たな市場を開拓しました。

 当時は、ホンダから同様のSUVとなる「CR-V」がライバル車として投入されるなど、現在の「SUVブーム」の先駆け的な存在になり、この2台は世界的なヒットモデルに成長します。

 しかし、RAV4とCR-Vはともに日本市場での販売低迷などにより、一度姿を消すのです。RAV4においては、2013年に4代目モデルが海外で登場しますが、日本では販売されませんでした。

 その後RAV4は、北米市場を中心に人気を不動のものとし、アメリカ人好みのデザインを採用して2018年3月のニューヨークオートショーで現行となる5代目RAV4を発表。日本では、前述の2019年4月に発売します。

 RAV4が日本市場に復活する際、すでに日本ではSUVブームともいえるほど各車が新型モデルやフルモデルチェンジをおこない、多種多様な魅力あるSUVが多数ラインナップされていました。

 一方で、RAV4はアメリカ人好みのタフさやオフロードをイメージさせるデザインを採用することで、近年の流行りだった都会派でスタイリッシュなデザインとは一線を画すSUVです。

 そんな流行りとは違うスタイルで登場したRAV4は、当初の月販目標を3000台に設定。発売翌月のトヨタの発表では、初動について次のように説明していました。

「発売約1か月にあたる5月15日時点で約2万4000台、月販目標(3000台)の8倍と、好調な立ち上がりとなっています。

 新型RAV4は、お客さまの好みに合わせて3種類の4WDシステムからお選びいただけるラインアップとしておりますが、約9割のお客さまに4WD車をお選びいただいています。また、ご購入いただいた人のうち20代・30代が約4割となっています」

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 このように、これまでの主流だったオンロード重視で都会派なSUVとは違うRAV4は、好調な販売を記録したほか、4WDを選ぶユーザーが多かったというのも大きな特徴でした。

 その後、2019年度(2019年4月から2020年3月)の登録車販売台数では、7万1539台と1か月平均で約5950台と月販目標の2倍を維持したことになります。

 通常の新車の場合、発売後の半年は好調を維持し、その後徐々に台数が落ちていくという流れですが、近年のSUVブームに加え、タフさやオフロード性というかつてのRVブームを彷彿とさせる戦略によって、RAV4はSUV市場をけん引する存在となりました。

 RAV4の好調な要因について、首都圏のトヨタ販売店のスタッフには次にように話しています。

「RAV4は、最近流行りのSUVとは違い、本来のSUVらしい力強さと洗練さを融合したデザインが好評で、とくに『アドベンチャーグレード』はほかのグレードよりもオフロード感が再現されており、お客さまからのウケが良いです。

 また、エントリーグレードの『X(2WD)』は265万円からと国産SUVの同クラスでは、手の届きやすい価格帯というのも好調な要因だと思います」

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 かつて販売低迷によって日本から姿を消したRAV4は、復活したのちに前述の2019年度SUVジャンルで、もっとも売れたモデルとなったのです。

PHV追加でさらに好調なるか!? 一方で新型ハリアーの影響も出ている?

 発売から1年が経過したRAV4ですが、2020年6月に転機が訪れます。それは、RAV4をベースとした派生車としてプラグインハイブリッドシステムを搭載したRAV4 PHVが新たに加わったこと、そしてトヨタの元祖ラグジュアリーSUVともいえる4代目の新型ハリアーが発売されたことです。

 RAV4 PHVは、新開発のプラグインハイブリッドシステム「THS-II Plug-in」を搭載し、システム最高出力306馬力を達成。0-100km/hは6.0秒と、加速力にも優れています。

 駆動方式に電気式4WDシステムのE-Fourが採用され高い走行安定性を実現したほか、最大航続距離は1300km以上という走行距離を実現。

 また、レジャーや災害時などに役立つ最大1500W(AC100V)の外部給電機能を標準装備し、荷室のアクセサリーコンセントから手軽に給電ができます。

 価格は、RAV4 PHVのエントリーグレード「G」が469万円と、購入ハードルが低い価格帯とはいえませんが、ガソリン車、ハイブリッド車、PHV車という選択肢が増えたRAV4シリーズとしては、強い味方といえます。

 そんなRAV4の勢いに待ったをかけるのが、同じトヨタから発売された新型ハリアーです。2020年6月17日に発売されましたが、同年5月中頃から先行予約受注をおこなっていました。

 また、4月13日には、デザインやスペックがほぼわかる状態で世界初公開しており、この情報を知った3代目の先代ハリアーやほかのトヨタ車、他社SUV、そして輸入SUVに乗るユーザーから問合せが殺到したといいます。

 その結果、同年6月3日時点で2万台を受注。新型ハリアーは早くも人気モデルとなっているようです。

 新型ハリアーとRAV4について、前出の販売店スタッフは次のように話します。

「どこのメーカーも同じだと思いますが、3月から5月はコロナの影響もあり、RAV4をはじめ販売台数を落としています。

 5月25日には、首都圏でも緊急事態宣言が解除され、その前後からお客さまの問合せが増えてきました。同タイミングで新型ハリアーの先行予約が開始されたこともあり、直近は新型ハリアー一色となっています。

 もちろん、オフロードなデザインを好む人であればRAV4ですが、質感が大幅に向上したにも関わらず、299万円から設定された新型ハリアーに関心を示す人は多くいらっしゃいます。

 そのため、ハリアーの新車効果があるうちは、RAV4の台数は落ちるのではないかと予想していますが、都会派と自然派のように異なるコンセプトなので、RAV4の総体的な台数は落ちても人気SUVというには変わりは無いと考えています」

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 近年のトヨタは、同社内でターゲットが被るモデルが存在。コンパクトカーでは、「ヤリス(ハイブリッド車)」と「アクア(ハイブリッド専用車)」、コンパクトSUVでは、「C-HR」と「ライズ」に加えて2020年秋には「ヤリスクロス」も登場します。

 また、2020年5月からこれまで販売チャネルごとに設定されていた専売車の「ノア/ヴォクシー/エスクァイア」、「アルファード/ヴェルファイア」、「ルーミー/タンク」などが、全店舗で取り扱われることになったことで、これらの車種のターゲットユーザーが少なからず被ってきます。

 同じコンセプトのモデルを多く揃えることのメリットとしては、トヨタのラインナップ内で比較検討する可能性が高くなることから、他メーカーにユーザーが行きづらくなるという点が挙げられます。

 しかし、その分生産コストは掛かるため、トヨタは将来的に現在のラインナップを半減させることを明らかにしているのです。

 このような背景のなかで、RAV4は主力SUVとしてこの先も人気を維持できるのか注目です。