スーパーやショッピングモールなどの駐車場には、ショッピングカート置き場が設けられていますが、指定位置以外に放置するユーザーが後を絶ちません。その放置カートがクルマを傷つけた場合、賠償金を請求することはできるのでしょうか。

駐車場に放置されたカートと衝突! 責任は誰に問われる?

 商業施設などの駐車場内には、随所にショッピングカート置き場が設置されているものの、然るべき場所に戻さず、放置してしまう人がいます。その放置されたカートにぶつかってクルマに傷がついた場合、賠償金を請求することはできるのでしょうか。

 放置されたショッピングカートについて、SNS上では「邪魔」「迷惑きわまりない」といった声が寄せられています。なかには、放置カートに気づかずクルマをぶつけてしまい、傷を付けてしまうケースも考えられます。

 こうした問題について、スーパー側はどのように考えているのでしょうか。全国展開する大手スーパーマーケットの広報担当者は、以下のように話します。

「駐車場内に放置されたカートでクルマを傷付けるといったトラブルは、基本的に行政の管轄となります。そのため、この問題について、店舗側が具体的にお答えすることはできません」

 スーパーやショッピングモールが設ける駐車場では、駐車場の土地を借りる、クルマを管理者に預ける、クルマの管理を請け負わせるなど、それぞれ異なる契約内容が存在します。

 そのため、管理者側が担う注意義務の内容や程度に差が出ることから、カートに関するトラブルについては、一概に対応しきれない部分があるとのことです。店舗側の見解としても、行政に頼るのが適切な判断となります。

 では、放置されたカートによりクルマが傷ついた場合、行政の対応として賠償金を請求することはできるのでしょうか。

 賠償金を請求できるケースは、「故意や過失が認められた」場合です。カートが、駐車スペース内や通路のど真ん中、クルマのドアが開閉する置所など、クルマとの衝突や往来への妨害が想定できる場所に放置されていると、故意や過失として認められるとされます。

 加えて、駐車場内に設置された監視カメラに、カートを放置した本人の映像が残っているなど、「具体的な証拠」も必要です。

 上記が成立すれば、法律上の「不法行為責任」として損害賠償義務を問うことができ、クルマにカートがぶつかると分かったうえで、あえて危険な場所に放置するのは「故意」によるものです。

 また、こうした状況を想定できなかった場合でも、不注意によって結果的に傷を付けてしまえば「過失」になりますが、カートをぶつけた張本人を特定するには、時間やコストがかかるうえに特定できない可能性があります。

 では、駐車場の管理者側に責任を問うことはできるのでしょうか。

 駐車場の管理者に責任が問えるケースは、カートが放置されている事実を黙認しながらも、改善に務める様子がない場合です。

 また、「駐車場内で発生した事件・事故に対して管理者側は一切責任を負いません」といった記載の看板が設置された駐車場でも、責任を問えるケースがあります。

 店舗側が損害賠償の支払いを免れるためには、故意または過失によるものではないことを証明する必要があり、「責任を負わない」と表記されていても、無実を証明できなければ、管理者側に賠償金の請求をすることも可能です。

 反対に、賠償金の請求が難しくなるケースもあります。

 カートをぶつけた張本人を特定できず、故意または過失であると認められない場合です。駐車場内に、監視カメラが設置されておらず、映像といった確実な証拠を残せないとなれば、責任を問うことは非常に難しいとされます。

 なお、クルマが「走行中」にカートと衝突した場合は、ドライバーにも責任があるため注意が必要です。

 賠償金を請求することはできるものの、過失相殺によってその額が減らされてしまう可能性があります。過失相殺とは、加害者だけでなく被害者にも過失の疑いがある場合、被害者側の過失割合に応じて賠償金額が減額されることです。

 ドライバーは、進行方向を注視して運転する義務があり、走行中にカートと衝突することで、この義務に違反したとみなされる可能性があります。その結果、過失が問われてしまい、賠償金の請求額が減額されるのです。

 上記については、ドライバー側の不注意による過失が問われるため、減額はやむおえません。しかし、先述した賠償金の請求が難しいケースは、「動体検知・駐車監視機能」を搭載したドライブレコーダーの装備で対処できる可能性もあります。

隣のクルマにドアをぶつけたら賠償金を請求される?

 駐車場内で起こり得るトラブルは、放置カートによる衝突だけではありません。

 隣のクルマにドアをぶつけてしまう行為も、よくあるトラブルの一つです。通称「ドアパンチ」と呼ばれており、駐車枠の間隔が狭い場所で起こりやすい事故です。

 では、ドアパンチによって相手のクルマを傷つけてしまった場合、賠償金を請求されることはあるのでしょうか。

 相手のクルマを傷つけてしまった以上、修理代を払う義務があります。ここで、逃げてしまうと「事故報告義務違反」とみなされ、罰則の対象となります。

 ドアパンチをはじめとする事故を起こした場合、加害者側は「報告の義務」が科せられ、これを怠ると、3か月以下の懲役又は5万円以下の罰金に処されます。

 そのため、被害の大小に関わらず、まずは相手に謝罪をし、車両保険に加入している場合は、ドアパンチにおける示談交渉の対応も任せられます。

 なかには、傷が小さいために当事者同士の示談交渉を試みる人もいますが、話し合いが収まらず、さらなるトラブルに発展する危険性も高いです。必ず保険会社を通して示談交渉をおこないましょう。