トヨタは、日本市場で「RAV4」と「ハリアー」を販売していますが、実はこの2台の兄弟車として北米や欧州市場で販売される「ハイランダー」というモデルも存在します。日本ではあまり馴染みの無いハイランダーとRAV4&ハリアーとの関係性とはどのようなものなのでしょうか。

日本にも欲しい! トヨタ「ハイランダー」とはどんなSUV?

 現在、世界的に人気があるクルマのジャンルといえばSUVが挙げられます。連日のように各自動車メーカーから国や地域に合わせた大小さまざまなSUVが登場するほど、人気に衰えを知らないジャンルとして確立しました。

 とくに、直近のトヨタでは「RAV4」や「ハリアー」が人気を博していますが、この2モデルには実は日本で販売されていない兄弟車の「ハイランダー」が存在するのです。ハイランダーとRAV4、ハリアーにはどのような違いがあるのでしょうか。

 この三兄弟は、ともにトヨタのTNGAプラットフォーム「GA-K」を採用。GA-Kは、三兄弟以外にセダンの「カムリ」や「アバロン(北米向け)」、ミニバンの「シエナ(北米向け)」、レクサス「ES」など多岐にわたっています。

 三兄弟の登場順としては、北米で2018年にRAV4、2019年にハイランダー、そして2020年に日本ではハリアー(北米ではヴェンザ)として展開されました。

 RAV4のボディサイズは、全長4600mm-4610mm×全幅1855mm-1865mm×全高1685mm-1690mmとなり、ガソリン車とハイブリッド車でフロントフェイスは少し異なるものの、SUVらしい力強さと洗練さを融合したデザインを採用しています。

 ハイランダーは全長4950mm×全幅1930mm×全高1730mmと全長5m近いボディに3列シートを搭載。日本では、マツダ「CX-8」のようなパッケージです。

 ハリアーのボディサイズは、全長4740mm×全幅1855mm×全高1660mm。先代ハリアーの全長4725mm×全幅1835mm×全高1690mmと比べて、長く広くなっているものの、全高を下げていることで、低重心のスタイルとなっています。

 パワートレインでは、RAV4が2リッター直列4気筒ガソリンと2.5リッター直列4気筒ハイブリッドを搭載。駆動方式は基本的に2WD/4WDを設定していますが、なかでも3種類の4WDシステムをグレードによって分けているのが大きな特徴です。

 ガソリン車には、従来と同じシステムのほかに、走行状況に応じて前後トルク配分に加え、後輪トルクを左右独立で制御する機構と4WD走行が不要と判断した場合には、後輪への動力を遮断して燃費向上を図る新開発の「ダイナミックトルクベクタリングAWD」を世界初採用。

 ハイブリッド車には、最新のハイブリッド技術を継承した新型E-Fourを採用。後輪の最大トルクを増加させ、前後のトルク配分を大きく変更可能な制御を行うほか、後輪トルクを上げたことで降雪時や雨天時における登坂発進時の安心化も向上させています。

 ハイランダーは、3.5リッターV型6気筒ガソリン、2.5リッター直列4気筒ハイブリッドを搭載。ガソリン車の上級グレードには、RAV4同様に「ダイナミックトルクベクタリングAWD」を採用。先代と比べて、前後のサスペンションをチューニングして俊敏性と旋回性が向上するとともに、スムーズで静かな乗り心地としました。

 そして、ハリアーは2リッター直列4気筒ガソリン、2.5リッターハイブリッドとRAV4と同様の設定です。先代モデルにあった2リッターターボ車はフルモデルチェンジによって廃止されています。

 なお、ガソリン車とハイブリッド車ともに2WD/4WDを設定。4WDは、ガソリンがダイナミックトルクコントロール4WD、ハイブリッド車はE-Fourが設定。ボディの高剛性化・低重心化を図り、ドライバーの感性を重視した乗り心地と走りを両立しました。

 このように同じプラットフォームかつSUVという共通点がありながらもボディサイズやシートレイアウト、乗り味が異なる三兄弟。それぞれの世界観について、チーフエンジニアの佐伯禎一氏は次のように話します。

「この三兄弟は、同じプラットフォームではありますが、それぞれテーマを持っています。まず、RAV4は、『これぞSUV』というテーマや『RAV4の4は4WDの4』ということもあり、ずば抜けた4WD性能を持つことをテーマに、世界初のダイナミックトルクベクタリングAWDを採用しました。

 ハイランダーは、どちらかというと女性が使うことを意識しています。北米では、ハイランダーの使い方として、奥さんが子どもを2列目や3列目に乗せてスクールに送り、自分はそのままオフィスに向かうという事例もあるため、移動の部分にウエイトを振っています。

 そして、ハリアーはRAV4やハイランダーといった王道のSUVでは無い、独自のモデルとして開発しました。そのため、RAV4やハイランダーで培ったSUV作りのノウハウを一切捨てて、SUVを超えたSUVを目指して出来たモデルです。

 また、歴代ハリアーの流れとして高い4WD性能や走破性といったものよりも、ハリアーの世界観を作り上げるために、美しさや感性といった数字にこだわらないモデルになっています」

RAV4&ハイランダー&ハリアー、それぞれの登場経緯とは

 現在は、同じプラットフォームを使った三兄弟ですが、成り立ちはそれぞれ異なっています。

 初代RAV4は1994年に登場。当時のSUVは、オフロード走行を目的とした本格的なクルマとして位置づけられていましたが、乗用車タイプのSUV(クロスオーバーSUV)という新たな市場を開拓します。

 その後、世界的なヒットモデルに成長したRAV4ですが、日本市場において2005年に登場した3代目の販売低迷に伴い、2016年に一旦幕を閉じます。しかし、その前の2013年には海外向けとして4代目「RAV4」が登場していました。

 RAV4は、主にアメリカを中心に人気を不動した結果、アメリカ人好みのデザインを採用して2018年3月のニューヨークオートショーで5代目モデルを発表し、2019年4月に日本でも発売されることとなったのです。

 初代ハイランダーは、日本では「クルーガー」という車名で2000年に発売され、2代目ハイランダーは、カムリのプラットフォームをベースに2007年に登場します。

 日本では、クルーガーの後継車モデルとして、3代目RAV4をベースにした「ヴァンガード」が2007年に登場。2代目にフルモデルチェンジしたハイランダーは、北米や中国向けのSUVとなりました。

 その後、現行の4代目ハイランダーは欧州市場にも導入されるなど、販路が拡大しています。

 1997年に登場した初代ハリアーは「高級サルーンの乗り心地と快適性を兼ね備えたクロスオーバーSUV」として開発され、「高級クロスオーバーSUV」という市場を開拓します。

 その後、2013年のフルモデルチェンジで登場した3代目ハリアーは、国内専用車モデルとして発売。2017年には前述の2リッターターボを追加設定して、3つのパワートレインを展開していました。

 なお、2020年に登場した現行の4代目ハリアーでは、同年5月から国内の販売チャネル展開が全店舗で全車種の取り扱いに変更されたことや、北米市場でも販売されることなどにともない、歴代ハリアーの象徴だった車名の由来となる鷹のエンブレムがトヨタのエンブレムに変更されています。

※ ※ ※

 三兄弟は、異なる成り立ちや販売展開を経た結果、それぞれがグローバルで戦っていくトヨタを代表するSUVとなりました。

 残念ながら日本市場にハイランダーが導入される予定はありませんが、RAV4やハリアーと似て非なるSUVとして、日本で販売されれば一定数の需要はあるかもしれません。