直近の新車販売はコロナ禍により大きく低迷しています。しかし、そのなかでもトヨタ「アルファード」は比較的に好調を維持していますが、高級ミニバンといわれるアルファードが売れ続ける要因とはなんなのでしょうか。

コロナ禍でもアルファードが好調な要因とは

 昨今のコロナ禍により、新車販売が低迷するなか、継続して順調なのが高級ミニバンの代名詞トヨタ「アルファード」です。

 これには、2020年1月の一部改良による納期ズレの影響といわれていましたが、2020年5月と6月もコンスタントに台数を伸ばしていることから、そのほかにも要因がありそうです。その要因とは、なんなのでしょうか。

 アルファードは、2019年12月18日にスマホ連携やディスプレイサイズ変更、バックガイドモニターを全車標準装備など快適機能に関する一部改良を発表し、2020年1月6日から発売されたことで受注数が増加していました。

 受注生産の場合、注文を受けてから生産が開始され、完成次第納車されます。当時、アルファードの納車期間は約3か月程度であったため、4月に新車登録がされたクルマが多かったことから、コロナ禍の真っ只中にあっても好調な販売を記録していました。

 日本自動車販売協会連合会が発表した2020年4月のミニバンの新車販売台数は、トヨタ「シエンタ」(6982台)、ホンダ「フリード」(6030台)、アルファード(5739台)、トヨタ「ヴォクシー」(4323台)という結果ですが、アルファードだけ頭ひとつ車両価格が高いことを考えると、その好調さがわかります。

 その後も、アルファードは5月(5750台)、6月(6835台)と徐々に販売台数を伸ばしています。また、2020年上半期(1月から6月)の販売台数は3万6597台となっており、普通車全体でも10番目にランクイン。

 前述の年初の一部改良以外に、5月以降も販売台数が好調な要因には2020年5月1日に特別仕様車「アルファード 特別仕様車 S“TYPE GOLD”」が追加されたことが挙げられます。

 S“TYPE GOLD”はSグレードをベースに、ゴールドの専用フロントエンブレムを採用。スモークメッキと黒メタリック塗装を施したフロントグリル、スモークメッキ加飾のボンネットフードモール、フロントバンパーモール、バックドアガーニッシュといった装飾を装備しています。

 内装では、ウルトラスエードと合成皮革を組み合わせた専用シート表皮、メタルウッドの本革巻き4本スポークステアリングホイールをはじめ、ルーフおよびピラーにブラックを採用した高級感ある室内空間を演出するなど、アルファードならではの特別なモデルです。

 さらに、従来までのトヨタは、国内で4つの販売チャネル(トヨタ店・トヨペット店・カローラ店・ネッツ店)によるそれぞれの専売モデルと、「プリウス」「アクア」といった全店舗扱いのモデルを販売していました。

 しかし、特別仕様車の発売と同じ5月1日から全国のトヨタ販売店で全モデルの取り扱いをスタートし、これにより従来トヨペット店のみの取り扱いだったアルファードが全店舗で購入可能となったことも、販売台数が好調な要因といえます。

 アルファードについて、トヨタ販売店スタッフは、以下のように話します。

「アルファードは、2002年に初代モデルが登場して以来、2020年現在もコンスタントに売れ続けているミニバンのひとつです。

 2年後にフルモデルチェンジが噂されているものの、現在も変わらず好調な販売台数を誇っています。逆にいえば、これまで売上が大きく低迷したことがないクルマです。

 現行アルファードは2015年に登場しましたが、その後もコンスタントに一部改良やマイナーチェンジが実施され商品力に磨きがかかっているからで、最近の一部改良や特別仕様車の追加もその商品力を向上させるひとつです。

 さらに、単純にアルファードに代わるクルマがないといった点があげられます。まず、他メーカーで3列シートのラグジュアリーなミニバンはほとんど目にしません。

 強いていえば、日産『エルグランド』があげられますが、アルファードを検討される人はエルグランドを比較対象とするケースは非常に少ないです。

 これは、かつての『いつかはクラウン』と似たような現象として『いつかはアルファード』という憧れが、お客さまのなかにあるのだと思います」

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 アルファードが昨今のコロナ禍においても堅調な販売を維持するのは、商品力の向上や取り扱い店舗の拡大、そして高級ミニバンの代名詞となったアルファード自体への憧れといったさまざまな要素が背景にあるようです。

兄弟車としても知られる「ヴェルファイア」に圧倒的な差を付けた理由とは?

 ヴェルファイアは、2008年に登場した2代目アルファードがモデルチェンジを遂げた当時、ネッツ店向けに販売された「アルファードV」の後継車として登場しました。

 若者や女性をターゲット層としたネッツ店の販売戦略として、ヴェルファイアは艶やかで派手な印象のフロントマスクを持ち、存在感の強いミニバンとして頭角をあらわします。

 しかし、2017年12月におこなわれたなわれたアルファードのマイナーチェンジを機に、両車の立場がガラッと逆転します。

 アルファードは、クラウンのような清楚感溢れるフロントマスクを一新し、ヘッドランプ内はブラックアウトの細目化を取り入れ、フロントグリルはブラックを基調としてデザインへ変更。

 メッキの縦ラインを入れることで、ラグジュアリーでありながらも派手な印象を持つ顔へと居生まれ変わりました。

 ヴェルファイアも同時にマイナーチェンジを実施。メッキエリアをフロントのサイドエリアまで拡大し、サイドグリルと相まって、これまで以上にギラついた表情へ生まれ変わります。

 その結果、ほどよいバランスへ変化を遂げたアルファードが幅広い顧客に大きな評価を受け、2018年度の販売台数はヴェルファイアと1万5676台もの差を付けて逆転します。

 また、前述のように2020年4月30日まではアルファードがトヨペット店、ヴェルファイアはネッツ店というそれぞれの専売モデルでした。

 トヨペット店とネッツ店のユーザー層は異なり、トヨペット店は法人や中年層をターゲットとし、ネッツ店は若年層や女性層をターゲットにしていました。

 アルファード/ヴェルファイアの車両価格から考えると、トヨペット店のユーザー層によりマッチしたモデルといえます。対して、ネッツ店のユーザー層には当初こそ話題性もあり好評だったものの、実際には少し手が届きにくいといった経済的な事情や購入するならブランド化しているアルファードを選ぶといったさまざまな要素により、両車の販売台数に差が生じたと要因といえます。

 その後の2020年度上半期でも2万5900台もの差を付けて、アルファードの販売台数がヴェルファイアを上回る結果となりました。

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 トヨタは、今後国内での取り扱いモデルを半減させると明かしており、アルファード/ヴェルファイアやノア/ヴォクシー/エスクァイア、ルーミー/タンクといった販売チャネルごとの専売モデルが統合される可能性が高いといえます。

 果たして、数年後に生き残るのはアルファード/ヴェルファイアのどちらなのでしょうか。