アメリカで販売されている日本車は数多くありますが、日本での人気イマイチなのに、現地では大人気というモデルもあります。そこで今回は、意外にもアメリカで売れている日本車をピックアップして紹介します。

アメリカで評価が高い日本のSUVは?

性能の良さや経済性、信頼性の高さなどから世界で人気の高い日本車ですが、とくにアメリカでは、ビッグ3に匹敵する人気を誇るようになりました。

 文化の違いやクルマに対するニーズが異なるため、日本では地味な存在のモデルが、アメリカでは大ヒットするということもよくあります。

 アメリカの自動車市場は、ピックアップトラックやSUVが上位を占めており、クルマに高い実用性が求められている状況が続いています。

 セダンが低調なのは日本市場と同じですが、昨今の販売ランキングを見ると、アメリカンブランドのセダンは上位20位以内に入っておらず、ランクインしているのは日本メーカーのみ。

 さらに日本ブランドのSUVが上位にランクインしていることから、日本車が当たり前のようにアメリカ市場で受け入れられているかがわかります。

 そこで今回はアメリカで売れている意外な日本車を5台ピックアップして紹介します。

●ホンダ「CR-V」

 トヨタ「RAV4」の好敵手として1995年に登場したホンダ「CR-V」は、当時の「シビック」のプラットフォームをベースに開発されました。

 悪路走破性よりも居住性や快適性を重視したつくりとなっており、乗用車感覚で乗れるSUVの代表といえる存在です。

 ホンダが自社で開発した初のSUVともいえますが、当時は「RV」や「ミニバン」とはいわずに、「クリエイティブ・ムーバー」という呼び方でカテゴライズされていました。

 2001年には、使い勝手の良さを進化させ2代目へとフルモデルチェンジ。日本では初代ほどの大ヒットとはなりませんでしたが、逆にアメリカや欧州、アジアなど海外での評価が高まり、「アコード」やシビックに次ぐホンダの人気モデルになりました。

 その後、海外での好調さとは裏腹に、日本では人気が低迷。2006年の3代目、2011年の4代目になっても、初代のようなヒットを記録するには至らず、いったん販売が終了しました。

 それでも海外での人気は堅調で、2016年には現行型となる5代目へとフルモデルチェンジ。そして、ラインナップから外れていた日本でも2018年に復活を果たしました。

 現行モデルのCR-Vは、全長4605mm×全幅1855mm×全高1690mm(4WD)というミドルクラスSUVに仕立てられています。

 パワートレインは1.5リッターターボとCR-Vでは初となる2リッターガソリン+モーターのハイブリッド仕様の2種類を設定。

 さらに先進の安全運転支援システム「Honda SENSING」やハンズフリーパワーテールゲート、フルLEDヘッドライトなど、装備が充実しているのが特徴です。

 海外では相変わらず大ヒットモデルとなっており、2019年にアメリカでは38万4168台も売れましたが、日本のSUV市場では盛り上がらない状態が続いています。

 これは最上級グレードのハイブリッドの4WDモデルで450万円オーバーという高価格が、大ヒットした初代の手軽さというイメージと合致していないことも要因のひとつとなるようです。

●スバル「アウトバック」

 日本では「フォレスター」や「XV」といった売れ筋SUVがあるなかで、大人な仕様であまり注目を集めていませんが、アメリカでは大ヒットしているのがスバル「アウトバック」です。

 アメリカの有力自動車サイト『AUTOTRADER』から「2020年度最高の新車」に選ばれるなど、クルマ自体の性能や機能、価格などで好バランスのクルマとして、幅広い層から支持されています。

 もともとアウトバックは、1994年にアメリカのSUV市場への投入モデルとして、当時の「レガシィツーリングワゴン」の2.5リッターモデルをベースに、オールウェザータイヤや200mmのロードクリアランス(最低地上高)を確保したアウトドア向けモデルとして誕生しました。

 アメリカでは6代目にあたる現行型も初代のコンセプト通り、セダンやワゴンの快適性やSUVとしての機能性・悪路走破性をプラスしたモデルです。

 全長4860mm×全幅1855mm×全高1680mmのボディで、2.5リッターエンジンに加え、2.4リッターターボを搭載。駆動方式はAWDのみとなっています。

 アメリカでは、乗用車感覚で乗れる上に、多少の段差も気にならないロードクリアランスや高い積載性能、ゆとりのあるパワーのエンジンにAWDの組み合わせが人気です。

 それでいて2万6645ドル前後(日本円で約280万円)のベース価格という点においても高い評価を受け、2019年は18万1178台を販売しました。

 普段は都会で仕事をしつつ、週末は釣りやマリンスポーツなどに出かけたいユーザーにとって、ミニバンやSUV以上に使い勝手のいいモデルともいえます。

●マツダ「CX-5」

 日本でもアメリカでも高く評価されているSUVとして紹介するのが、マツダ「CX-5」です。

 2012年に「SKYACTIVテクノロジー」を全面的に採用したSUVとしてヒットモデルとなりましたが、その魅力は都市型SUVとして洗練されたデザインと、2.2リッタークリーンディーゼルターボエンジンを4WDで味わえたことが大きいといえます。

 このクリーンディーゼルは自然吸気の4リッターガソリンエンジン並みのトルクを発生し、「ディーゼル=遅い」という概念を覆すとともに、18.6km/L(JC08モード)もの低燃費も兼ね備えています。

 初代は大ヒットでしたが、その魅力をさらに進化させたのが2017年にデビューした現行型(2代目)です。

 全長4545mm×全幅1840mm×全高1690mmという立派ながら、取り回しもしやすいミドルクラスSUVらしいサイズに、2リッターおよび2.5リッターガソリンエンジンと2.2リッタークリーンディーゼルターボというエンジンラインナップは初代と同じですが、高い質感を感じさせる改良が加えられました。

 国内ではディーゼルのイメージが強いマツダですが、アメリカで販売されるモデルはガソリン車が中心となっています。

 マツダのデザインとして「魂動デザイン」を盛り込み、初代以上の高級感のあるインテリアと組み合わせた2代目はアメリカでも人気となって、2019年には15万4545台を販売しています。

セダン低迷のアメリカでも日産とトヨタは売れている

●日産「アルティマ」

 その国独自の規制に合わせて日本専売モデルがあるように、海外輸出専用の日本車も数多くあります。

 そのひとつである「アルティマ」は、アメリカにおける日産の主力セダンで、日本で販売されている姉妹車「ティアナ」とは明らかに違うスポーツセダンのようなデザインが特徴で、2018年にデビューした現行型は6代目になります。

 全長4901mm×全幅1850mm×全高1447mmというミドルクラスらしいサイズは、日本でいえば「スカイライン」と同カテゴリです。

 先進運転支援システムである「セーフティシールド360」を2020年モデルから標準装備。「プロパイロット」も中級グレード以上のモデルに標準装備しています。

 搭載されるエンジンは、2.5リッター直列4気筒自然吸気と世界初の可変圧縮比エンジンである2リッターVCターボを設定しており、VCターボはV型6気筒エンジンに匹敵する248馬力のパワーを実現しながら、直列4気筒らしい低燃費も両立させた新世代エンジンとなっています。

 2019年にアメリカで20万9438台を販売するなど、低迷するセダン人気のなかでも堅調な売れ行きを記録しています。

●トヨタ「カムリ」

「カローラ」と並び、トヨタの屋台骨を支える世界戦略車の重責を果たしているのが「カムリ」です。2019年には、セダンが不人気なアメリカでも33万6978台を販売しています。

 FFによる直進安定性と快適な居住空間でロングドライブを快適にこなす高級セダンとして、1980年にデビューしたカムリは、2017年に登場した現行型で10代目を迎えるロングセラーシリーズ。

 現行モデルは、全長4885mm×全幅1840mm×全高1445mmというサイズで、ホンダ「アコード」や日産 アルティマと同じミドルクラスに属しています。

 パワートレインは次世代を担う新設計の2.5リッターガソリン+モーターによるハイブリッドシステム「THS II」を採用し、システム全体で211馬力のパワーを発揮します。

 ちなみにアメリカ市場向けには301馬力を発揮する3.5リッターV型6気筒エンジン搭載モデルもラインナップされており、単なる乗りやすいセダンではなく、スポーティさと高級感のバランスが人気の秘密だといえます。

 カムリはアメリカの乗用車部門で16年連続トップを獲得した実績を持っているほど、すでにアメリカ市場では当たり前の存在になっているようです。

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 アメリカで売れている意外な日本車を5台紹介しましたが、じつは2019年にアメリカでもっとも売れた日本車はトヨタ「RAV4」で44万8071台が販売されました。

 2019年に国内市場に復活したRAV4は、アメリカでウケの良いワイルドなデザインを身につけ、日本でも高い人気を誇っています。

 同じプラットフォームの「ハリアー」が、アメリカでは「ヴェンザ」として発売される予定ですが、こちらもアメリカでの販売ランキング上位に食い込んでくるかが注目されます。