どこでもタバコが吸えた時代、クルマにも必ず灰皿とシガーライターが装備されていました。ところが最近のクルマからは消え去っています。なぜなくなってしまったのでしょうか。

車のタバコ装備なぜ消えた? 標準だったシガーライターや灰皿が無くなった訳とは

 昭和から平成初期は、クルマにシガーライターと灰皿が装備されているのが一般的でした。しかし、平成の30年間でシガーライターと灰皿を純正装備するクルマは激減し、現在はディーラーオプションで細々と残るのみです。
 
 電車やバスなどの公共交通機関とは違い、マイカーはプライベートな空間であるにも関わらず、なぜクルマのシガーライターと灰皿は消えていったのでしょうか。

 日本たばこ産業(以下、JT)が専売公社時代の1965年から、2018年まで続けてきた「全国たばこ喫煙率調査」によると、喫煙率がもっとも高かったピーク時の1966年には、男性83.7%・女性18.0%(ともに成人)が喫煙者で、とくに男性に関しては「20歳を超えたら、男はみんなタバコを吸う」という時代でした。

 当時は公共施設や交通機関におけるたばこの規制がゆるく、航空機の客室内や鉄道の駅、列車内に灰皿が用意されていただけでなく、一般企業の職場はもちろん学校の教員室や病院の待合室にも灰皿が設置されていたほどです。

 クルマにも、シガーライターと灰皿は必需品とされていました。

 しかし、たばこの段階的な値上げや、喫煙による健康問題に関する意識が徐々に高まりはじめ、元号が平成となった1989年時点の喫煙率は男性61.2%・女性14.2%まで低下。

 その後、2002年に全国で初めて千代田区が罰則を設けた路上喫煙を禁止する条例「安全で快適な千代田区の生活環境の整備に関する条例」を制定したことをはじめ、各地の自治体が路上喫煙禁止を打ち出しました。

 JTが最後に発表した2018年の喫煙率は、男性27.8%・女性8.7%まで低下。振り返ると、喫煙者の減少に伴い、クルマにシガーライターと灰皿が純正装着されている意味が薄れていった、ということがわかります。

 マツダの関係者は、次のように説明しています。

「現在のマツダ車には、シガーライターのオプション設定はありません。世の中の喫煙率が減っていると同時に車内での喫煙に対するニーズも減少しています。ただし、灰皿に関してはディーラーオプションとして、カップ式のものがいまでも残っています」

 ユーザーのアフターサービスをおこなう販売店では、どのような反応なのでしょうか。三菱の販売店スタッフは、次のように話します。

「クルマのなかでも吸いたいという一部のお客さまのために、いまでもごく一部の車種にシガーライターがオプション設定で残っている事例はあります。

 しかし、そもそもクルマのなかで紙巻たばこを吸いたいお客さま自体がだいぶ減ってきた状況です。喫煙者のお客さまと会話をしていても、「吸うなら外で」という意識を強く感じます」

 喫煙者自身および周囲の人への健康に対する配慮や、タバコの匂いなどを考慮したマナー意識は高まっているといえるでしょう。

電子タバコなら車内でも吸いたい? 喫煙グッズ事情とは

 灰皿を装備していなくても、従来からのシガーライターを差し込める形のソケットを備えているクルマが増えています。

 ならば、「シガーライターだけをネット通販で買えばいいのでは」と思う人もいるかもしれませんが、現在のクルマに標準装備されているものは電源供給を目的としたソケットであり、耐熱仕様になっていないものもあります。

 これについて、前出のマツダ関係者は次のよう説明しています。

「シガーソケットが残る理由としては、ドライブレコーダーやクルマ用電化製品が、未だにシガーソケットのタイプを採用していることが多いためです。最近のクルマには、USBタイプの充電口が多く装備されています」

 そして、煙や匂いが少ない近年の電子タバコの流行を受け、クルマのなかでつかうシガーソケットを活用した商品として、電子タバコの充電が可能な充電グッズも新たに登場しています。

 本来、電子タバコはUSB電源などで充電するものですが、専用グッズがあればシガーソケット電源からも充電可能です。

 従来の紙巻きタバコが嫌煙されたことで、純正用品としてのシガーライターや灰皿は消えていきましたが、そうした車内の喫煙グッズは、電子タバコ関連がいま盛んになりつつあります。